住宅ローン控除とふるさと納税、併用すると損をする?注意点を解説!
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住宅ローン控除とふるさと納税はどちらも税金を控除できる制度です。
しかし、住宅ローン控除を受けながら、ふるさと納税でも税金を控除できるのか、疑問を持ったことはありませんか?
本記事では、住宅ローン控除を受けながらふるさと納税をする際の注意点を解説します。
目次
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、好きな地方自治体にお金を寄付することで、そのお返しとして、特産物などの返礼品がもらえる制度です。
ふるさと納税の特徴は、ただ返礼品がもらえるだけでなく、寄付金額から2,000円を差し引いた金額分、所得税の還付や住民税の控除が受けられます。
そのため、実質2,000円でお得な返礼品がもらえるのが、ふるさと納税のメリットとなります。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金当特別控除)とは、一定の条件を満たした住宅をローンで購入した際に、年末のローン残高に応じて、所得税や住民税を減額する制度のことです。
住宅購入の際の経済的負担の軽減や節税効果がメリットとなります。
住宅ローン控除を受ける際は、確定申告をしなければなりません。
ふるさと納税の税金控除の申請方法
ふるさと納税の、税金控除の申請方法は原則「確定申告」による方法です。
自分で確定申告をしなければならないので、手続きは少しめんどくさく感じますが、ある一定の条件を満たしている人は「ワンストップ特例制度」と呼ばれるもっと簡単な方法で申請することができます。
申請方法によっては、後に解説する「住宅ローン控除」で損をする場合があります。
それぞれの申請方法ができる人とできない人の条件がありますので、まずは自分がどのパターンに当たるか確認しましょう。
確定申告による申請方法
始めに、ふるさと納税の税金控除を「確定申告」によって申請する方法です。次の条件に「1つ」でも当てはまる人は「確定申告」によって控除申請をする必要があります。
・ふるさと納税をした自治体が6カ所以上ある人
・寄付した自治体全てにワンストップ特例申請書を提出していない人
・ふるさと納税以外の理由で確定申告が必要な人
どれか1つでも当てはまれば確定申告をする必要があり、特に上記3つ目の条件から主に自営業者や不動産収入がある方が対象となります。
ワンストップ特例制度を利用した申請方法
ワンストップ特例制度とは、専用の申請書に必要事項を記入して自治体に提出するだけの簡単な方法です。
次の条件に「全て」当てはまる人が利用できます。
・ふるさと納税をした自治体が5カ所以下の人
・寄付した自治体全てにワンストップ特例申請書を提出している人
・ふるさと納税以外に確定申告する必要がない人
上記全て当てはまる人、つまりは「確定申告をしなければならない条件に全て当てはまらない人」がワンストップ特例制度を利用して控除申請をすることができます。
特に上記3つ目の条件から、主に会社員などの確定申告をする必要のない方が対象となります。
ワンストップ特例制度を利用した申請方法は、自治体に寄付した後、申請書を提出するだけですが、複数の自治体に寄付した場合は「全て」の自治体に提出しなければ申請を認めてくれません。
1カ所でも提出忘れがあった場合は、確定申告で申請しなければならないので注意が必要です。
また、住宅ローン控除の利用開始が初めての年に該当する方は、1年目に住宅ローン控除を受けるために確定申告をする必要があります。
必然的にワンストップ特例制度が利用できないため注意が必要です。
2年目からは勤務先の年末調整で受けられるので、ワンストップ特例制度が利用可能となります。
住宅ローン控除とふるさと納税の税金控除は同時にできる?
まず結論から述べると、住宅ローン控除を受けていても、ふるさと納税での寄付金額分の控除は受けることが可能です。
しかし、ふるさと納税の税金控除の申請の方法によっては、住宅ローン控除が満額受けられない可能性があります。
「確定申告」と「ワンストップ特例制度」、それぞれの申請方法による違いを見ていきましょう。
ワンストップ特例制度で控除申請する場合
ふるさと納税の控除申請をワンストップ特例制度で行った場合、住宅ローン控除を同時に利用していてもお互いの控除限度額に影響がないため、両方の控除が受けられます。
なぜなら住宅ローン控除は原則、「所得税」からの控除であり、ワンストップ特例制度は「住民税」からの控除になるからです。
ただし例外で、住宅ローン控除は「住民税」から控除される場合があります。
「所得税」から控除し切れなかった分が「住民税」からの控除上限内で控除となります。
例えば、所得税が30万円に対して、住宅ローン控除による減額分が35万円の場合、30万円分は所得税から引かれますが、残りの5万円分は住民税から引かれます。
▼ふるさと納税の控除申請をワンストップ特例制度で行った場合のイメージ
確定申告で控除申請する場合
ふるさと納税の控除申請を確定申告で行う場合は、控除の恩恵を100%受けられない場合があります。
以下がふるさと納税の控除申請を確定申告で行った場合の、控除の仕組みです。
①ふるさと納税の控除申請を確定申告で行った場合は、「所得税」と「住民税」の両方が控除対象となる。
②住宅ローン控除の控除対象は「所得税」と「住民税」の両方であり、住民税からの控除には上限が設定されている。
③ふるさと納税を確定申告で行った場合、ふるさと納税の控除分は先に「所得税」から控除され、その後に住宅ローンの控除分が「所得税」から控除される。
④②③より、住宅ローン控除の「所得税」から控除し切れなかった分は「住民税」から控除され、「住民税」からの控除の上限額を超えた分は、自己負担になる。
つまり、ふるさと納税の控除申請を確定申告で行った場合、ふるさと納税の寄付金額(控除額)が多い人や、住宅ローン控除分が多額な人は、その分住宅ローン控除が「住民税」からの控除にずれ込みやすいです。
このずれ込みが「住民税」からの住宅ローン控除上限を超えた分は自己負担金となり、住宅ローン控除から減額できる金額が少なくなります。
そのため、ふるさと納税の寄付限度額を考慮しなければ、住宅ローン控除で損をすると同時に、ふるさと納税で実質2,000円以上の金額を負担することになってしまいます。
▼ふるさと納税の控除申請を確定申告で行った場合のイメージ
控除額で損をしないためにシミュレーションをしよう
住宅ローン控除とふるさと納税を併用し、控除額で損しないためには、「住民税からの住宅ローン控除の上限」を超えないラインで収まる金額で、ふるさと納税を行うことです。
全体の控除額がいくらになるかシミュレーションすることで、ふるさと納税の寄付限度額を知ることができます。
こちらのふるさとチョイス控除上限額シミュレーションでは、あなたの給与収入、家族構成、保険料や現在受けている控除額を入力することで簡単にふるさと納税の寄付限度額が簡単に分かります。
特に確定申告で申請する方は、住宅ローン控除による所得税の減額分が、実際に納める所得税を上回って、住民税から減額される上限を超える場合があります。
ふるさと納税をする前に一度シミュレーションするようにしましょう。
住宅ローン控除とふるさと納税をうまく併用しよう!
住宅ローン控除とふるさと納税を併用した場合、どのような点に注意すべきか解説しました。
併用する際は、ふるさと納税の控除申請はどの方法なのか、住宅ローン控除が住民税からの控除上限額を超えないかをシミュレーションして把握します。
2つの控除制度をうまく併用して、損のないふるさと納税の恩恵を受けましょう。