G7とは?参加国・意味・国際社会への影響を解説
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2016年、伊勢志摩でG7サミットが開催されました。
実は、ニュースでしばしば耳にする「G7(ジーセブン)」という用語には2通りの意味があります。
G7の2つの意味とG7の持つ影響力、G8やG20との違い、また、G7が今後どう変わっていくのかについて解説します。
目次
G7(ジーセブン)とは
G7とはGroup of Sevenの略で、日本とアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの7か国を意味します。
G7は、どんな資格の人が集まるかによって2つの種類があります。7か国の首脳が集まるときは「G7サミット」もしくは「G7主要国首脳会議」。
7か国の財務大臣と中央銀行の総裁が集まるときは「G7財務大臣・中央銀行総裁会議」です。
なお、G7サミットは2014年から、G7財務大臣・中央銀行総裁会議は1986年から開催されています。
G7サミット
主要国首脳会議のことをサミット(英語:Summit、頂上の意味もある)とも言いますので、G7サミットと呼ぶこともあります。
元々は現在の7か国にロシアを加えた8か国で「G8」と呼ばれていましたが、2014年にロシアがウクライナの領土を侵害したという事件により参加停止が決定され、同年3月以降はG7となりました。
先進7か国財務大臣・中央銀行総裁会議
また、7か国の財務大臣と中央銀行の総裁が集まる会議も「G7」と呼ぶことがあります。
首脳会議ではないことを明確にするために「G7財務大臣・中央銀行総裁会議」や「先進7か国財務大臣・中央銀行総裁会議」と呼ぶこともあります。
元々は日本とアメリカ、イギリス、フランス、ドイツの5か国で会議を開催していましたが、1987年からイタリアとカナダが加わり、7か国で会議をするようになりました。
また、ユーロ発足(仮想通貨としては1999年から、現金通貨としては2002年から開始)に伴い、G7財務大臣・中央銀行総裁会議に、欧州中央銀行の総裁とユーログループ議長も参加するようになりました。
G7は世界経済や国際情勢に影響力を持つ
G7のことを「先進7か国」とも呼ぶことからも分かりますように、7つの国々はいずれも世界経済や国際情勢に多大な影響力を持っています。
また、サミットにおいても財務大臣・中央銀行総裁会議においても、世界中の国々が協力して進めていく指針について討議しますので、G7の協議の結果が、G7に参加していない国々にも影響を与えることになります。
G7と世界全体での人口とGDPの比較
G7における協議の結果は、G7に参加していない国々にも影響を与えます。
しかし、G7に参加する国々がいくら経済大国だといっても、わずか7つの国の首脳や大臣が国際情勢を動かしてしまうことは、公平とは言えません。
実際に、「G7による会議は経済格差を拡大してしまうだけではないか」という声も、G7非参加国から上がっています。
世界の中でG7がどの程度の位置づけなのか、数字にすると分かりやすいです。
G7の人口とGDPを世界の人口とGDPと比べてみました。
人口 | GDP | |
---|---|---|
G7(世界に占める割合) | 761,203(10.1%) | 35,548.9(47.0%) |
世界 | 7,550,262 | 79,310.5 |
※人口の単位は千人、GDPの単位は10億ドル
※人口は2017年の調査、GDPは2016年の調査による
経済力を示すGDPにおいて、G7は世界の半分も占めていないことが分かります。
また、人口においてはわずか1割しか占めていません。
このことからも、G7だけで世界情勢を左右するのは不公平であることが分かります。
G7の今後の在り方と、G20の台頭
例えば人口だけで見ても、中国とインドだけで世界の36.4%(2017年時点)を占めています。
また、中国は、世界のGDPの14.7%を占めるアメリカに次ぐ経済大国で、インドも世界のGDPの3.0%を占める世界第7位の経済大国です。
しかし、両国ともにG7には参加していませんので、発言力はありません。
そこで、近年、中国やインドといった、特に経済力を増している新興国も首脳会議に参加するようになってきました。
新興国11か国と1地域、そして、かつて先進国首脳会議に参加していたロシアを加えた20か国で、「G20」として協議を実施することが増えてきています。
G20を構成する19の国々と1つの経済地域 |
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・G7の参加国:日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ ・G8の参加国:ロシア ・新興11か国:アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中華人民共和国、インド、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、韓国 ・経済地域:欧州連合(EU) |
G20で話し合うことで不公平感は軽減される
G7に中国とインドを加えるだけでも世界全体における人口は46.4%となり、世界人口の約半数をカバーできます。
さらに9つの国々とEUを加えることで、人口的にも経済的にも多くの国々の立場を考慮した協議ができるようになると期待できます。
世界のわずか1割程度の人口を占めるG7が世界情勢を動かすよりは、G20で話し合って世界情勢を動かすほうが不公平感は大きく是正されるのです。
G20の課題と役割
しかし、G20と参加国を増やすことに問題点がないわけではありません。
参加国が増えると各国の首脳や財務大臣のスケジュールを調整することが難しくなるだけでなく、開催場所も簡単には決められなくなりますし、警備や費用の負担も増えます。
また、世界には100を超える国々がありますから、G20に参加しない国々に配慮した協議する責任がG20すべての国に課せられます。
特にアフリカからは南アフリカ共和国の1か国しか参加していませんので、南アフリカ共和国の意見だけでアフリカ全体を論じてしまうのは無理があります。
南米大陸からはブラジルとアルゼンチンのみが参加していますので、この2か国からの情報を南米全体の情報と見ることも無理があります。
G20に参加したすべての国が自国の国益だけでなく世界の利益を優先し、世界の人々の代表として参加しているという意識を持つことが大切と言えるでしょう。
G7の役割や影響を知ると国際情勢や世界経済がわかりやすい
今後もG7による話し合いは継続されると予想されますが、新興国とEUを加えたG20での協議とその影響力が増していくと予想されます。
2019年6月28日からは大阪でG20首脳会議が、8月24日からはフランスを議長国としてG7首脳会議が開催されますので、それぞれの協議内容の違いに注目してみましょう。