慰安婦問題とは?意味や経緯、日本と韓国の主張を紹介

新聞やテレビニュースで、慰安婦問題についての記事を見ない日はないといっても過言ではありません。

慰安婦問題は、単なる補償問題ではなく、日韓関係にも大きな影響を及ぼしています。

そもそも慰安婦問題とは何なのか、また、なぜ注目されているのかについてまとめました。

慰安婦問題とは

日本と韓国の地図と国旗

慰安婦問題とは、慰安婦の補償をめぐる問題です。

主に日本軍の将兵を相手に性的な接待をおこなった女性を慰安婦と呼びますが、軍内に慰安所がつくられ、将兵に性的奉仕を強いられていました。

慰安婦には、日本本土に住む日本人だけでなく、当時、日本の植民地であった朝鮮や台湾、日本が軍を置いたフィリピンやミャンマー、中国、マレーシア、インドネシアなどの国々の女性もいました。

しかし、慰安婦問題というときは、主に韓国の慰安婦を指しています。

主な詳細

1970年代から80年代にかけて、慰安婦問題はあくまでも日本国内の問題、個人的な問題として捉えられることがほとんどでした。

しかし、1990年1月、尹貞玉(ユンジョンオク)梨花女子大教授が韓国の新聞に慰安婦問題について寄稿したことをきっかけに、韓国でも慰安婦の存在が広く知られるようになったのです。

その後、韓国国内では日本に謝罪と補償を求める声が日に日に高まっていきました。

翌91年には元慰安婦だったという女性が名乗り出て日本政府を提訴したため、日本政府も慰安婦問題についての調査を開始する運びになりました。

そして、翌92年、当時の内閣総理大臣であった宮沢喜一首相が日韓首脳会談で謝罪をし、慰安婦問題に日本政府の関与があったことを公的に認めました。

朝日新聞は「慰安婦問題」の一部報道を取り消し

1980年代から90年代にかけて、朝日新聞では文筆家の吉田清治氏の文章を基に、幾度となく慰安婦問題についての記事を公開してきました。

韓国側が慰安婦問題について主張する際に「日本側の証言」として吉田氏の文章を用いることも多く、長く、吉田氏の文章は事実の記録として扱われてきました。

しかし、実際には、吉田氏の文章には吉田氏による創作が多く含まれていたのです。

1995年、吉田氏は自分の文章の多くの部分が創作であることを認めました。

これを受けて、吉田氏の文章の真偽を確かめずに掲載した朝日新聞も、2014年、吉田氏の寄稿をすべて取り消し、公式に謝罪しました。

日本政府の主張

国会議事堂

1991年、元慰安婦が日本政府を提訴したことをきっかけに、日本政府は慰安婦問題の本格的な調査に乗り出しています。

1992年には日本政府が慰安婦問題に関与していたことを認め、翌93年には河野洋平官房長官が談話内で謝罪と反省の意を示しました。

1995年には日本政府が主導して、アジア女性基金事業を開始しました。

これは日本国民の寄付を基にして元慰安婦に償い金を支給する事業で、2007年に解散しています。

日本政府がおこなった対応

1992年1月、宮沢喜一首相が訪韓した際、首脳会談や国会演説で慰安婦と日本軍の関与を認め、謝罪をおこないました。

同年7月にも加藤紘一官房長官が反省の意を表明し、日本政府がおこなった慰安婦関連調査の結果を同時に報告しています。

ただし、この結果では、慰安婦が日本政府と関与があったことは認められましたが、慰安所に強制連行したという事実は見つかっていませんでした。

しかし、韓国からの強い要請を受けて第二次調査がおこなわれ、慰安婦の募集が甘言や強圧によっておこなわれたことがあったということが分かりました。

この結果を受け、河野洋平官房長官は元慰安婦に対する謝罪と反省の意を表明しています。

慰安婦問題日韓合意

2015年12月には、慰安婦問題に関する最終的かつ不可逆的な解決として、日韓両国で合意が決議されました。

日本政府は10億円を出資し、慰安婦問題が繰り返し謝罪を請求する・されるの国家間問題にならないように終止符を打つことになったのです。

2017年には韓国に住む元慰安婦の75%が慰安婦問題日韓合意に賛成を示し、見舞金1億ウォン(日本円で1,000万円相当)を受け取りました。

日本政府の慰安婦問題に関する見解

2019年5月21日、外務省の公式ホームページで、慰安婦問題における日本政府の見解と韓国への伝達において明らかにしました。

まず、日韓間における財産・請求権の問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で完全かつ最終的に解決済みであること、そして、慰安婦問題に関しても、2015年の日韓合意において最終的かつ不可逆的な解決が日韓両政府の間で確認されていることを表明しています。

韓国政府の主張

青瓦台

慰安婦問題は、2015年の日韓合意で最終的かつ不可逆的に解決されました。

しかし、日韓合意の採択を「韓国政府の裏切り行為」と捉えている韓国国民も少なくなく、日韓合意の破棄を求める動きも見受けられました。

世論を受けて韓国政府は、2018年11月、日韓合意における日本側の出資金を基に作られた「和解・癒やし財団」を解散しています。

韓国政府がおこなった対応

2016年9月、韓国政府の外交部報道官は「日本政府は元慰安婦の心をいやすための追加措置をおこなうべきだ」と述べ、日本政府に2015年の日韓合意以上の措置をおこなうように求めました。

また、同年10月には呉俊国連大使が、「日韓合意は、国連などの国際舞台での議論には影響を及ぼさない。

慰安婦問題はまだ終わっていない」と発言しました。

12月には釜山市東区の許可を得て、釜山市にある日本領事館前に慰安婦像が設置されています。

ほかにも、韓国政府や国民が日韓合意によって慰安婦問題が解決したとは思っていないことを示す事例や発言は少なくありません。

慰安婦問題への国際世論

国連ビル

慰安婦問題の日韓合意が締結された際、アメリカ政府やドイツ、シンガポール、国際連合などのさまざまな国々や国際機関が日韓合意に対して支持を表明しました。

また、国連の潘基文事務総長も、2016年1月に日韓合意を祝福する電話を朴槿恵大統領に送っています。

しかし、日韓合意に対して疑問を投げかける声もなかったわけではありません。

2017年5月、国連拷問禁止委員会は、日韓合意では被害者の名誉回復や真相究明に対する手段が明確ではないと指摘し、再交渉すべきだとの意見書を提出しました。

慰安婦問題を公平に知ることで単なる対立で終わらせない

2015年の日韓合意で、慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決したはずでした。

しかし、韓国国民からの批判的な声を受け、今もなお問題は解決していません。

慰安婦問題をめぐって対立を続けるのではなく、事実に基づく情報のみを両国が再理解することで、協力して問題解決に努めていく必要があると言えるでしょう。