尖閣諸島問題とは?日本の領土問題をわかりやすく解説

新聞やネットのニュースでしばしば見られる「尖閣諸島問題」とは、具体的にどんな問題なのでしょうか。

国際的にどのような問題として捉えられているのか、また、なぜ解決が長引いているのかについてまとめました。

尖閣諸島問題はどこで起きているのか?

尖閣諸島問題はどこで起きているのか?<出典:外務省「日本の領土をめぐる情勢 尖閣諸島について」>

尖閣諸島は、沖縄本島の南西にある南西諸島西端の島々の総称です。

もっとも西にあるのは尖閣諸島の中でも最大面積を有する魚釣島で、その他にも飛瀬や大正島、久場島、北小島、南小島、沖ノ北岩、沖ノ南岩などの島があります。

1895年以来、日本の領土として、現在も沖縄県石垣市に属しています。

なお、現在は尖閣諸島に居住している人はいません。しかし、かつては日本人が住み、最盛期には200人ほどの人口がありました。

尖閣諸島問題とは中国との領有権と領海問題

尖閣諸島の中で最大面積を有する魚釣島は、石垣島からはわずか170㎞しか離れていません。

大正島に至っては石垣島から150㎞とさらに近く、日本人が住んでいた歴史と重ね合わせると、領土問題を引き起こす理由はなさそうに思えます。

とはいえ、尖閣諸島が近いのは日本だけではありません。

中国や台湾とも近く、例えば魚釣島は中国からは330㎞、台湾からは170㎞しか離れていないのです。

そのため、中国も尖閣諸島の領有権を主張しており、中国内では中国固有の領土としています。

また、領土だけでなく領海問題も起こっています。

引き潮時の海岸線から12カイリ(約22㎞)を領海と呼び、石油や天然ガスなどの資源を採掘する権利を独占できると、国連海洋法条約で定められています。

さらに、外国が許可なく領海に入ったときは、自国の法律で取り締まることもできるとされています。

しかし、近年、中国の船が尖閣諸島の領海に頻繁に立ち入り、なおかつ中国も領海を主張しているのです。

尖閣諸島問題を歴史的に見る

内閣官房ホームページの「尖閣諸島関連年表」によりますと、1885年~1951年の尖閣諸島の領有権については以下の通りとなっています。

<尖閣諸島をめぐる日本の動き>

西暦 尖閣諸島関連の動き
1885年 沖縄県が尖閣諸島を調査し、
尖閣諸島に外国の支配が及んでいないことを確認
1895年 尖閣諸島を沖縄県の領土に組み入れることが閣議決定される
1896年 明治政府の許可を得て尖閣諸島の開発が始まる。
漁業や鰹節の製造、羽毛採取のために尖閣諸島に移住する日本人の増加
1951年 サンフランシスコ条約により、
日本の領土の一部として尖閣諸島も一時的にアメリカの支配下に置かれる

1951年までは、尖閣諸島の領土・領海に関して国際的な問題は起こっていませんでした。

しかし、1969年に国際連合アジア極東委員会報告書によって、尖閣諸島の周辺に石油埋蔵の可能性が指摘されると、事態は一変します。

1971年6月には台湾が、同年12月には中国が、公式に尖閣諸島の領有権を主張し始めたのです。

2008年には中国の公船が尖閣諸島周辺の領海に初めて侵入し、その後、頻繁に領海侵入を試みるようになりました。

尖閣諸島の領有権に対する各国の主張

尖閣諸島の領有権に対する各国の主張尖閣諸島の領有権については、各国の主張が異なっています。

まずは地理的に近くにある日本と台湾、そして中国がそれぞれ領有権を主張しています。

また、サンフランシスコ条約によって、アメリカも尖閣諸島の領有権について関わるようになりました。

なお、サンフランシスコ条約の第2条では日本の領域について定められています。

日本は朝鮮の独立を承認し、済州島や鬱陵島、また、台湾や樺太の一部、太平洋諸島や南沙諸島、西沙諸島などの領土を放棄することになりました。

中国の主張

日本では、1885年、尖閣諸島を所有している国がないことを慎重な調査によって確認しています。

しかし、中国では古来より「尖閣諸島は中国の領土であった」と主張しています。

中国の領土だと主張する根拠として、尖閣諸島を発見したことや地理的に近いことを挙げていますが、実際のところ、国際法においては「発見したこと」も「地理的に近いこと」も領有権とは無関係です。

台湾の主張

台湾は、中国よりも6ヶ月早く尖閣諸島の領有権を主張し始めました。

台湾が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、漁業権に強い関心があるためと考えられています。

日本の敗戦後にアメリカ軍が尖閣諸島を含む沖縄諸島を統治していたときも、台湾は尖閣諸島近海で漁を実施していました。

また、尖閣諸島近海に地下資源の可能性があるということも、台湾が領有権を主張する理由の1つです。

サンフランシスコ条約によって日本が太平洋諸島や台湾を放棄したときに、尖閣諸島も放棄したと主張しています。

日本の主張

1885年の調査において尖閣諸島を所有する国がなかったこと、そして、その後、日本が領有権を主張してから約1世紀にわたって諸外国から異論を受けなかったことを根拠に、日本は尖閣諸島の領有権を主張しています。

また、サンフランシスコ条約において日本は太平洋戦争時に得た領土の多くを返還しましたが、尖閣諸島についてはサンフランシスコ条約では触れられていないことも領有権を主張する根拠の1つです。

尖閣諸島は、太平洋戦争時に新たに得た領土ではなく、以前から日本の沖縄県に属する日本固有の領土であったと主張しています。

アメリカの主張

アメリカでは、日米安全保障条約によって1972年に沖縄が日本に返還されたとき、尖閣諸島も日本に返還されたとしています。

1972年は中国や台湾が尖閣諸島の領有権を主張し始めた年の翌年でもありますが、アメリカにおいては尖閣諸島は沖縄県に属する島々だとの見方を変えてはいません。

実際に、中国や台湾が尖閣諸島の領有権を主張し始めた1971年には、CIAの報告書で「尖閣諸島は琉球諸島の一部と考えられている」との記述が見られています。

このことからも、アメリカでは、尖閣諸島の領有権は日本が持っていることを既定の事実とみなしていることが分かります。

尖閣諸島問題に対し日本は「自衛」しかできないのが現状

尖閣諸島問題に対し日本は「自衛」しかできないのが現状日本は、日本国憲法でも定められている通り、戦争を永久に放棄した国です。

領土や領海を侵されたとしても、交戦することはできず、自営するしかありません。

尖閣諸島の領有権について主張してくる国があれば、日本が領有権を持つことを冷静に説明し、領土や領海に侵入する人がいれば、注意を喚起するしかできないのが現状です。

尖閣諸島問題から日本の領土問題を考える

領土が減ると領海が減り、漁場や地下資源の採掘場が減ります。

尖閣諸島近海は良い漁場かつ地下資源を有する可能性も高いため、外国が主張するからという理由で手放すことは賢明ではありません。

領土は「長く保有した」という歴史が作る側面もありますので、尖閣諸島問題についても国民が真剣に考える必要があるのです。