北朝鮮問題とは?核実験やミサイル、拉致についてわかりやすく解説
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近くて遠い国、北朝鮮。
隣の韓国とは1965年以来国交がありますが、北朝鮮との国交はなく、自由に行き来することはできていません。
この記事では、北朝鮮の【核実験】【ミサイル開発】【拉致】の3つの問題についてわかりやすく解説します。
ぜひご覧ください。
目次
北朝鮮問題1.核実験について
北朝鮮は1974年、原子力の平和的利用を促進する国際原子力機関(IAEA、2019年2月時点で171ヶ国が加盟)に加盟しました。
また、1985年には「核兵器の不拡散に関する条約」(NPT、2020年1月時点で191の国や地域が加盟)にも加盟しています。
しかし、1993年、北朝鮮側が提出した資料とIAEAの調査結果が大きく異なったこと、そして、IAEAの査察を北朝鮮が拒否したことで、「北朝鮮が核実験をしているのでは?」という疑惑が高まりました。
疑惑の目を向けられる中、北朝鮮は2002年にはIAEAの査察官を追放、2003年にはNPTからの脱退を表明しました。
2012年に金正恩(キム・ジョンウン)体制になると、状況は少し変わります。
IAEAの調査要員の受け入れを許可し、米朝会談では核実験の一時停止で合意しました。
しかしながら北朝鮮の融和政策は長く続かず、未だ非核化は実現できていません。
<参考:日本原子力研究開発機構「北朝鮮核問題」>
核実験に対する、北朝鮮側の主張
2019年の年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会総会で、金正恩委員長は核開発や大陸間弾道ミサイルの開発を再開する可能性を示唆しました。
同時に、北朝鮮に非核化を要求しつつ自国の核実験については言及しないアメリカに対して、「対話を唱えながら挑戦を圧殺しようとしている」「アメリカとの約束に一方的に縛られる根拠はない」と痛烈に批判しました。
核実験に対する、日本や国際社会の主張
北朝鮮は、2017年9月3日、「大陸間弾道ミサイル搭載用の水素爆弾の実験に成功した」と発表しました。
発表を受け、9月12日、国連安全保障理事会では、「北朝鮮の石油輸入に上限を設け、北朝鮮の主要輸出品である繊維製品の輸出を禁止する」といった制裁の実施を、全会一致で採択しています。
また、9月20日、国連総会の一般討論演説で、安倍晋三首相は「国連安全保障理事会が決定した採択を完全に履行すること」を主張し、北朝鮮への制裁を呼びかけました。
中国の王毅(オウ キ)外務大臣も、国連総会の一般討論演説で北朝鮮の核開発を非難し、北朝鮮との対話の必要性を訴えました。
北朝鮮問題2.ミサイル開発について
北朝鮮ではミサイル開発もおこない、頻繁に発射実験をおこなっています。
たとえば、2019年の7~9月に限っても、少なくとも8回以上の発射実験が観測されており、ミサイル開発に積極的であることが伺えます。
ミサイル開発に力を入れているのは、単に「軍事力を向上させたい」という理由もありますが、「対外交渉のため」という理由もあります。
北朝鮮は、アメリカを含むほとんどの国と国交がないため、ミサイルという切り札を持つことで交渉を有利に進めたいと考えているのです。
なお、核実験とミサイル開発はセットになっています。
水素爆弾などの核兵器を作り、大陸間弾道ミサイルなどで仮想敵国であるアメリカに送り込むことを想定しています。
ミサイル開発に対する、北朝鮮側の主張
北朝鮮が国際社会において発言力を持つためには、核実験とミサイル開発は欠かせない要素だと北朝鮮側は考えています。
実際に、1990年代に北朝鮮が大飢饉に襲われて何十万人という餓死者が出たときも、ミサイル開発などは継続されました。
現在、国連では、北朝鮮の輸出入を制限する経済制裁をおこなっています。
北朝鮮では、経済制裁の緩和を主張するためにも、軍事力を強化することが必要だと考えているようです。
ミサイル開発に対する、日本や国際社会の主張
北朝鮮は「大陸間弾道ミサイルの開発に成功した」と発表していますが、実際のところはわかりません。
しかし、何度も日本列島を超えて弾道ミサイルが飛ばされていることから、朝鮮半島だけでなく日本や中国などの近隣諸国を射程距離としたミサイルが存在することがわかっています。
近距離ミサイルの存在は、日本にとっては大きな脅威です。
日本はアメリカに「長距離ミサイルだけでなく、短距離ミサイルを禁止するように北朝鮮に交渉してほしい」と働きかけていますが、まだ明確な反応はもらっていません。
北朝鮮問題3.拉致問題について
<画像出典:外務省|政府認定の拉致被害者>
1970年代から90年代にかけて、多くの日本人が北朝鮮に拉致されました。
1991年以降、日本政府は北朝鮮に拉致した日本人を返還するように働きかけ、2002年にようやく北朝鮮側は拉致の事実を認めるようになりました。
2002年10月には拉致被害者のうち5人が日本に帰国し、拉致問題の解決に大きな動きが見えたかと思われました。
しかし、その後の日本と北朝鮮の間には、拉致問題解決について大きな認識の違いが生じているとされています。
拉致問題に対する、北朝鮮側の主張
2002年9月17日、金正日(キム・ジョンイル/金正恩の父)委員長は、日本人を拉致した事実を認めて公的な謝罪をおこないました。
当時、日本政府が拉致被害者として認定していた13人の生死や、日本政府が依頼していなかった拉致被害者1人の情報についても正式に報告しました。
しかし、その後は、ほかの拉致被害者に関しては口をつぐみ、「生存者はすべて日本に返還した」との主張を繰り返しています。
また、遺骨だといって提出された骨から拉致被害者とは異なるDNAが検出されるなど、北朝鮮の報告には疑わしい部分があります。
本当に生存者が5名だけなのか、死亡したとされる被害者は本当に亡くなっているのかなど、多数の疑問が未解決のまま残っているのが現状です。
拉致問題に対する、日本や国際社会の主張
2016年2月に、北朝鮮は一方的に拉致問題が解決したことを宣言し、拉致被害者をめぐる特別調査委員会を解体したことを報告しました。
しかし、すべての拉致被害者が帰国するまでは、拉致問題は解決したとは言えません。
G7サミットやASEAN首脳会合、国連総会などのさまざまな機会で、日本は拉致問題の解決を世界に訴え、協力を求めています。
日本の声に応えて、他の国々も拉致問題の解決に動きを見せるようになっています。
2018年6月の米朝首脳会談では、アメリカのトランプ大統領が金正恩委員長に拉致問題を提起するなど、日本以外の国も北朝鮮に「拉致問題の究明と解決」を呼びかけるようになりました。
今後も拉致問題の早期解決を目指し、日本は国際社会に訴え続けていかなくてはいけません。
北朝鮮問題は日本だけでなく国際社会で対応していく必要がある
北朝鮮は国交を結んでいる国が少なく、半ば孤立した状態にあるため、どのような行動に出るかわかりにくいという危険性をはらんでいます。
北朝鮮が持つ核実験やミサイル開発、拉致などの問題には、日本だけでなく国際社会全体で対応していく必要があると言えるでしょう。