保守政治家とは?対義語の「リベラル」と比較して意味や違いを解説
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政治家や思想を評するときによく使われる言葉に、「保守」と「リベラル」があります。
保守とは何か、そして、保守政治家とはどのような政治家を意味するのか、対義語であるリベラルと比較しながら解説します。
目次
保守政治家とは?
保守とは、伝統的な考え方や習慣、社会制度を維持していくことを意味します。
政治的な思想で「保守派」と呼ぶときは、現状を守るというよりは伝統、つまり過去にあった流れを守ろうとすることが多いです。同様に「保守政治家」とは、保守的な考え方を持つ政治家を指します。
例えば、憲法改正の問題に対しては、保守派は「改憲」の立場を取ります。
本来、現状を守ろうとするのが保守派なら、今の憲法を改正することが保守派の考え方になるはずです。
しかし、保守派は憲法が成立する前の伝統的な流れを守っていく考え方ですから、憲法自体が革新的な考え方に基づいて作られているときは、憲法を改正することで伝統的かつ保守的な状態に戻そうとします。
現在、日本で憲法改正の問題について語るときは、自衛隊に軍隊としての機能を持たせるかどうかが焦点になることが多いです。
保守派にとっては現在の日本国憲法そのものが伝統とは異なる革新的な存在ですので、改憲して以前のように軍事力を保有できる国づくりを目指しています。
保守派と呼ばれる政治家の代表例
日本において、保守派は右派や右翼と呼ばれることがあります。
軍事力を持つという考えだけに注目して、タカ派と呼ぶこともあります。
保守派と呼ばれる政治家は、自由民主党や日本維新の会、希望の党などに多く見られます。
たとえば、東京都知事を務めていた石原慎太郎氏や現都知事の小池百合子氏、元防衛大臣の稲田朋美氏などは、保守派や右派と呼ばれることが多いです。
政治家用語として「保守」の対義語は「リベラル」
リベラルとは、伝統よりは個人の自由を尊重する考え方を意味しています。
理念的には、保守の対義語はリベラルです。
リベラルは左派や左翼とも呼ばれ、伝統的な流れを守ろうとする保守派に対して革新派と分類されることもあります。
また、憲法が伝統的な考え方を踏襲していないときには、リベラルは護憲派となり、改憲派とは対立関係になることがあります。
実際に、現在の憲法では、日本は武力行使を永久に放棄することが定められています。
しかし、日本国憲法が成立する前からの立場を「伝統的な考え方」とすると、現在の日本国憲法は「革新的な立場」、つまり、リベラルとなります。
リベラル派と呼ばれる政治家の代表例
日本において、リベラルの武力を持たないという考え方だけに注目して「ハト派」と呼ばれることがあります。
リベラルと分類される政治家は、とりわけ、日本共産党や社民党、立憲民主党に多く見られます。
たとえば、立憲民主党の代表である枝野幸男氏や、同じく立憲民主党に所属する近藤昭一氏、ジャーナリストから政治家へ転身した有田芳生氏は、リベラル派として知られています。
政治家の保守派とリベラル派の政策傾向を比較
保守派の政党に所属している政治家であっても、特定の議題に関してはリベラル的な考え方を示すことがあります。
また、一般的にはリベラルだと認識されている政治家も、特定の話題については保守的な傾向を示すこともあります。
日本における保守派とリベラル派の政策傾向を表にまとめましたので、それぞれの傾向を知る上での参考にしてください。
保守派 | リベラル派 | |
---|---|---|
憲法改正 | 積極的 | 消極的 |
集団的自衛権の行使を認める 安全保障関連法 |
支持 | 反対 |
改正組織犯罪処罰法 | 支持 | 反対 |
原子力発電 | 維持 | 原発ゼロを目指す |
選択的夫婦別姓 | 反対 | 支持 |
首相の靖国神社公式参拝 | 支持 | 反対 |
現実の政治では「保守」「リベラル」で区別しきれない面もある
政策の傾向を見ると、保守派は「保守」という穏健な言葉とは真逆の政策を持つ傾向にあることが分かります。
また、リベラル派も、リベラルという言葉は穏やかですが、主義主張は現状と反対のことが多いため、リベラルとして知られる政党や政治家に攻撃的なイメージを持つ方も多いでしょう。
実際のところ、保守派であるかリベラル派であるかは、簡単には区別できない部分があります。
たとえば自由民主党は保守派を代表する政党ですが、党代表の安倍晋三首相は高校無償化を含めた教育無償化を推進しており、共産的かつリベラルな一面もあります。
世の中が単純に善と悪で分けられないのと同様、政治の世界も単純に「保守派」「リベラル派」という風に二分することはできないのです。
保守やリベラルの考え方は世代や個人によって異なる
現在の日本国憲法が成立してから生まれた世代にとっては、憲法を改正せずに守ること、つまり、集団的自衛権の行使ができない状態に国を維持することを「保守」と考える向きもあります。
また、「リベラルな考え方を持っている」と自己評価している人の中にも、首相の靖国神社公式参拝に関しては「個人の自由だ」とは考えずに反対の意を唱えることもあります。
何が保守的で何が革新的かは、国によっても異なります。
たとえば、アメリカにおいては、白人至上主義を思わせる言動も少なくないトランプ大統領は保守派とみなされており、社会保障の充実を優先させたオバマ前大統領はリベラル派とみなされています。
また、共産主義や社会主義の国においては、保守派は個人の富を求める資本主義的な考えを否定する傾向にあり、反対にリベラル派は経済的格差のある状態を理想として掲げることもあります。
保守派とリベラル派が対立する安全保障問題
政党や政治家個人を、「保守派だ」「リベラル派だ」と単純に二分することはできません。
しかし、保守派とリベラル派が対立する問題があるのも事実です。
とりわけ近年、安全保障問題に関して保守とリベラルの対立構造が見られています。
保守派は、国家予算の中から軍事費を増大させ、日本が集団的自衛権を行使できる状態になることを目指しています。
そのためには、憲法第九条を改め、国際紛争を解決する手段として武力を行使できるようにする必要があると唱えています。
一方、リベラル派はアメリカの主導のもとに作成された日本国憲法を守る立場に立ち、日本が永久的に戦力を放棄した国として存続し続けることを主張しています。
ただし、日本国憲法全体を守るというよりは第九条だけに注目し、第九条を守ることをスローガンとしていることが多いです。
これは、第九条以外の部分においては、保守派と意見を異にしていないためと考えられます。
政治家の「保守」「リベラル」傾向がわかると選挙投票の参考になる
政治家を「保守派」と「リベラル派」に単純に二分することは難しいですが、「保守傾向」と「リベラル傾向」のどちらが強いのかでとらえることは可能です。
それぞれの政治家が保守傾向にあるのかそれともリベラル傾向にあるのかを理解しておくと、選挙に投票する際の参考になるでしょう。