日本の経済格差とは?問題点と改善策について

経済格差は、外国の話だけではなく日本でも問題になっており、さまざまな不公平や困窮状態を生みだしています。

日本の経済の格差について、問題点と改善策について解説します。

経済格差の意味とは

経済格差の意味とは
経済格差とは、賃金や収入、財産において差があることを意味します。

つまり経済格差社会とは、賃金や収入、金融資産等において、富裕層と貧困層の二極化が進んでいる社会のことです。

二極化が進むと、貧困層の子どもが貧困層、富裕層の子どもは富裕層にと、世帯ごとでの富の固定化が進みやすく、さらに経済格差は広がります。

経済格差を図るジニ指数

経済格差を測る指標の1つに「ジニ係数」があります。

OECD(経済協力開発機構)や日本の内閣府も、格差や貧困問題を図る包括的な指標として使用しています。

ジニ係数は0~1の範囲で表示され、0に近づけば近づくほど格差のない社会、反対に1に近づけば近づくほど格差社会であると判断します。

ジニ係数
0.2~0.3 望ましい状態
0.4~ 社会騒乱多発の警戒ライン
0.5~ 深刻な不平等
0.6~ 暴動発生の必至

格差が広がりすぎると社会不満がうずまくため、デモやストライキ、テロなどの発生する可能性が高くなっていきます。

日本のジニ係数は

厚生労働省の所得再分配調査によりますと、21世紀の日本のジニ係数は人口構成の高齢化や単身世帯が増加傾向によって、緩やかに格差が拡大しています。

1999年には約0.3ほどしかなかった日本のジニ係数ですが、2010年の当初所得では約0.47と非常に高い水準になり増加の一途をたどっています。

経済格差の問題点とは

経済格差の問題点とは
経済に格差があるということは、何かしら不平等な社会であるということを意味します。

ほとんどのサービスや物をお金で手に入れられる世の中だからこそ、とりわけ経済による格差は大きな意味を持ちます。

日本国内において、経済格差があることで現在どのような問題が生じて、将来的にどのような問題が起こりうるのかについて見ていきましょう。

収入による格差

企業や役職による収入格差も大きいですが、雇用形態による収入格差も大きいです。

非正規雇用労働者やフリーターは、正社員と比べると、時給に換算した給与が少なく、賞与や手当がないことも多いため、低収入であることが多いです。
また男性や女性の性別によっても賃金格差があります。

一旦、非正規雇用やフリーターとして就労してしまうと、正社員としての職を得にくいという点も、収入による格差拡大につながっています。

特に年齢が高くなればなるほど正社員としての就労が難しくなるため、低収入者はいつまでも低収入状態から抜け出せないことが多いです。

病気や怪我による格差

正社員として働いていても、突然の病気や怪我で就労できない状態になることがあります。

最初は休職という形で籍を残していても、療養が長期化すると在籍し続けることは難しくなります。

近年は精神的な病気で療養する方も増えていますが、精神的疾病は長期化するだけでなく回復の目途が立ちにくいことが多く、一旦療養が始まると継続的に所得が低くなる場合は多いです。

また、時間給で仕事をしているフリーターや非正規雇用の方は、病気や怪我による収入減のダメージが大きいです。

病気や怪我によってできない仕事の種類が増えてしまうことも問題です。

職種に制限が生まれると、再就職先を決めることも困難になり、無収入の状態が長引くことになります。

教育による格差

現在の日本では、学歴が低いと就労の機会が減ることは事実です。

圧倒的な経歴や能力を持つ人にとって学歴が無意味となる場合はありますが、通常は学歴によって就労できる機会が大幅に変わり、生涯所得にも差が生まれます。

学歴はお金で買えるものではありませんが、親の経済力によっても左右されます。

小学校や中学校の時点で成績が悪かった場合、親に経済力があれば、塾や家庭教師を利用して子どもの学力を向上させ、高校・大学へと導いていくことができます。

親の経済力だけでなく地域での教育の格差も

また近年、地域差による教育の格差も増大しています。

大学進学に向けた中高一貫校は、首都圏や関西圏に集中しているため、有名大学への進学も地域差が徐々に広がりつつあります。

幼稚園や小学校から子どもを一貫校に通わせることで、高校・大学受験を経験せずに大卒までの学歴を比較的容易に与えることも可能となったため、中間一貫校は人気であり「幼稚園のお受験」も珍しい話ではなくなってきました。

地域による格差

日本では戦後、東京、大阪、名古屋の三大都市圏を中心に、農漁村を含む地方圏との間での所得格差が続いてきました。

  • 東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
  • 大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)
  • 名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)

所得格差と人口移動の間には密接な関係があります。

若年層を中心に、地方から所得の高い魅力的な地域に人口が流出した結果、地方は過疎、都市圏は人口過密となります。

若年層の地域移動は、出生率にも影響を及ぼす傾向があると考えられます。

地域で必要費用は異なるので一概としてどちらが豊かとはいえない

都市圏と地方圏の所得格差を考える際に、格差は確かに存在しますが、単純に所得格差を比較するには難しいです。

なぜなら地域によって、住宅環境や物価の違い、生活に必要な費用は異なります。

単に所得の金額だけを比較して、都市圏か地方圏どちらかが豊かであるかは論じられません。

しかし、全国的平均より賃金が低い沖縄県では、格差が子どもの貧困につながるとして問題となっています。

経済格差は年代によっても異なる

年代別のジニ係数をみると、20代後半は0.35を超えているものの30代~40代は幾分低下し、50代を過ぎると一転上昇して70代では0.65を超えます。

若年層間で経済格差が大きいことから、生まれた家庭による経済格差が子どもにも強い影響を及ぼしているといえます。

また、50代から経済格差が再度広がることは、年収の差が大きくなることを意味しています。

そして、高齢者の所得は今まで働いて積み重ねてきた結果が反映されるため、ジニ係数は大きくなりやすいです。

日本は今かつてない高齢社会に突入しており、ジニ係数はますます高くなる傾向ではあります。

経済格差の改善策とは

経済格差の改善策とは
経済格差がある社会は、住みやすい社会とは言えません。

富裕層と貧困層の二極化が進むと、通常は貧困層が大部分を占めることになります。

その結果、社会不安を生み、治安の悪化にもつながります。

国としても経済的によくない状態となります。

現在、日本では、経済格差の解消のために、累進課税制の導入と社会保障制度の充実の2つの政策を実施しています。

累進課税制で収入格差による不公平感を解消し、貧困層に生活保護などの社会保障制度を実施することでセーフティーネットを提供しています。

とりわけ経済格差が大きい高齢者世代に対しては、医療費の負担を減らし、年金を支給するといった社会保障制度を実施することで、経済格差の縮小が図られています。

累進課税の変化

現在、日本の所得税は最高45%の累進課税制(所得が大きいほど税率が高くなる)ですが、実は1986年時点の所得税は最高70%で、住民税をあわせると最高88%もの税を収める必要がありました。

高所得者にとっては厳しい状況でしたが、富の再分配や経済格差の縮小といった面では現在よりも公平性が高かったと言えます。

しかし、社会全体としては公平性を感じる一方で、高所得者からすると稼げば稼ぐほど税金でとられるので不平等を感じていた事でしょう。

若年層や子育て世帯への社会保障の充実

高齢社会に達したことをふまえても、若年層の正規・非正規労働の分化が生じて格差が広がっており、ジニ係数の上昇に繋がっています。
人口急減・超高齢化へ向かう日本の状況では、高齢化の進展を和らげる少子化の問題は特に重要で逼迫している問題です。

少子化問題は、将来を担う子供が増えないということで、経済格差はもちろん、国の衰退にもつながります。

子育て世代(若年層)の貧困問題、そして新語・流行語大賞で取り上げられ話題にもなった待機児童問題など、子育てがしやすい社会制度への対応が必要になっていきます。

人口問題の取り組み、若年層の貧困問題、年金などの社会保障制度の持続可能性の確保など、格差の問題は経済や社会政策の真価が問われてる状態にあります。

格差に対する意識改革を行なう

どんな政策を実施したとしても不公平に感じる人はいますし、生まれ持った能力や財力に差があることも事実のため、完全に経済格差をなくすことは不可能です。

貧困の連鎖を断ち切るために稼ぐ努力をすること、そして子どもに良い教育を与えることも重要ですが、経済格差を意識しないように心掛けることも大切です。

格差に対して敏感になり過ぎないようにしましょう。

世界の国々の経済格差は

世界の国々の経済格差は
ジニ係数の高い国はアングロサクソン国とよばれる、アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの5国です。

アングロサクソン系の諸国は資本主義国であり、自由主義的な社会思想が強く、市場に任せておけば経済はうまくまわるだろうという考えが根強いため、弱肉強食の社会となり格差が広がりやすいと考えらえています。

事実、イギリスの統治国であった南アフリカは、2019年現在、世界で最も格差が激しい国となっています。

ジニ係数の高さは、発展途上国や先進国といった分類はあまり関係なくみられますが、先進国では上昇傾向にあります。

行き過ぎた格差は経済成長に悪影響を及ぼします。

世界的にも格差は過去30年で最大となっている

現在、大半の OECD(経済協力開発機構)加盟諸国では、過去30年の歴史のなかで富裕層と貧困層の格差が最大となっています。

1980年代のOECD諸国の人口上位10%の富裕層の所得が、その国の下位10%を占める貧困層所得の7倍もの差がありました。

2014年には9.5倍に達しており格差は拡大しています。

所得格差の拡大は経済成長を大きく抑制しますが、経済成長にとって最も重要なのは貧困層だけではなく、下位40%の低所得の世帯です。
所得格差だけに目をむけるのではなく、低所得世帯全体への人的資本投資を促進する必要があるでしょう。

日本の経済格差と貧困問題とは

日本の経済格差と貧困問題とは
経済格差が拡大しつつある日本ですが、所得格差が広がる速度は、アメリカやイギリスと比べると穏やかではあります。

また、ジニ係数もアメリカやイギリス、ポルトガル、中国等よりは低いとされています。

しかし、世界的に見ても日本は決して経済格差が少ない国ではありません。今後も二極化が進み、深刻な問題になると考えられます。

もちろん、身分制が廃止された現代日本において、貧困から抜け出すことは不可能ではありません。

各々がお金の使い方を見直し、子どもの教育や貯蓄といった未来志向の支出を意識することも大切です。

また、シングルマザーの貧困解消に向けて、子どもと暮らしていない方の親が簡単に子どもの養育義務を放棄できないシステム作りも求められます。

すべての国民が幸せに暮らせるために、国民一人一人の意識改革と政府の適切な制度構築が必要と言えるでしょう。

日本の経済格差を理解しよう

日本にも経済格差は確実にあり、経済格差があるという点だけを見ていても問題解決にはなりません。

貧困の連鎖が起こらないように個人の消費生活を見直し、自分や子どもの将来を見据えた経済活動を行うと良いでしょう。

また、どんな人でも不公平を感じていることを理解して、格差に対する意識改革を行うことも重要です。