基本的人権の尊重とは?意味や種類をわかりやすく解説
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「基本的人権の尊重」について知っていても、いざ説明するとなると難しいですよね?
そこで本記事では、基本的人権の尊重についての概要や種類を紹介していきます!
憲法の三原則に含まれている理由やいじめ問題についても解説していますよ。
目次
基本的人権の尊重とは?
基本的人権の尊重とは、日本国憲法の三原則のうちの一つで、日本国民全員に与えられた平等な権利です。
〔基本的人権〕
第11条 国民は,すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は,侵すことのできない永久の権利として,現在及び将来の国民に与へられる。
<引用元:日本国憲法>
上記のように日本国憲法に記載されています。
つまり基本的人権の尊重とは、
日本国民が平等に持つ誰にも侵すことのできない永久権利のことです。
また、日本国憲法を正常に機能させるための権利とも言えますね。
基本的人権の尊重は、日本国民が人間らしく生きるための権利です。
つまり、
「法律やルールの範囲内であれば自由に暮らしていいよ」
「自由に生きる権利を憲法で守っているよ」
ということです。
基本的人権の種類
基本的人権の尊重は
「平等権・自由権・社会権・参政権・請求権」
これら5つの権利によって構成されています。
まずは、それぞれの権利について簡単に解説していきますね。
- 平等権
平等権とは、日本国憲法第13条で定められた権利です。
「全ての国民は差別されずに平等である」ことを保障してくれている権利です。
つまり、性別や年齢、出身地などで差別されることはなく、
平等に扱われる権利を憲法が守ってくれています。
例えば、
「この被疑者は〇〇だから刑を重くする」
「この被疑者は良家の出身だから刑を軽くする」
といった差別的なことを禁止して、全ての国民を平等に扱いましょうと定めた権利です。
- 自由権
自由権は、「国家権力によって侵害・干渉されない生活を過ごせる権利」です。
簡単にいえば、思想・発言・学問・住居・移転・信教・職業の選択などを自由に行える権利です。
つまり、
「日本で定められた法律やルールの範囲内であれば、国は個人の考えに干渉や規制をしませんよ」
といったことを定めた、個人の自由を保障した権利です。
- 社会権
社会権とは、「個人の生存・生活の維持を確保するために必要な教育を受ける権利・勤労権・労働者の団結や団体交渉権・争議権などの権利」のことです。
少し難しく感じますが、
日本で生きるために必要な最低限の教育や労働者の権利を保障する権利のことです。
- 子供は学校で教育を受けられる
- 全ての国民は健康で文化的な最低限の生活ができる
といった内容が有名です。
- 参政権
参政権とは、国民が政治に参加する権利のことです。
選挙に参加する権利だといった方がわかりやすいかもしれませんね。
参政権には2種類あります。
- 政治に参加する国民の代表を決める権利(選挙権)
- 自らが国民の代表として政治に参加する立候補をできる権利(被選挙権)
選挙権とは、満18歳以上の国民は普通選挙に参加できる権利で、被選挙権とは、条件を満たしていれば公職に就任できる権利です。
- 請求権
請求権とは、
- 仕事した分の報酬を請求する
- 損害賠償を請求する
- 携帯料金を持ち主に請求する
などの労働や損害に対して、一連の請求ができる権利のことです。
例えば、労働で考えると、
「仕事に見合った報酬は請求する権利があり、これは憲法が保障しているよ」
ということです。
基本的人権の尊重は日本国憲法の三原則
日本国憲法は、3つの原則で成り立っています。
- 基本的人権の尊重
- 国民主権
- 平和主義
基本的人権の尊重は、国民の生活を守るための重要な権利ですが、それだけではありません。
日本国憲法の三原則に含まれる程、大切な権利です。
決してないがしろにしてはいけません!
人の権利を侵害するような行為はもってのほかです!
国民主権と平和主義
日本国憲法の三原則である
- 国民主権
- 平和主義
についても紹介していきますね。
国民主権とは、
「国の政治のあり方を国民が決めることができる権利」
のことです。
一方、平和主義とは
頻繁にニュースでも取り上げられる憲法9条によって定められた
「日本は陸軍・海軍・空軍などの戦力を持たず、戦争をしない」
決まりのことです。
基本的人権の尊重は、これら2つの原則に並んで、日本国憲法の三原則に数えられる権利です。
日本における「基本的人権の尊重」の重要性を改めて認識できますね。
三原則に定められている理由は?
紹介した3つの原則が日本国憲法で定められている理由は、実は簡単です。
それは、日本が民主主義国家だからです。
民主主義の定義は国によってさまざまですが、日本における民主主義とは、国民の多数決によって政治やルールを決めることです。
普段から行われている選挙や、民間企業における採決なども民主主義の代表的な行いです。
民主主義国家は、
「より多くの国民の意見を政治に反映させること」
が重要視されています。
そのため、国民一人一人の権利を保障している「基本的人権の尊重」が必要となってきます。
また、国の政治のあり方を自分たちで決めることのできる「国民主権」や、戦争しないことを前提にした政治運営をするために「平和主義」を原則としているのです。
基本的人権の尊重は国を作る上でも大事
基本的人権の尊重が憲法で定められているために、国民は教育を受け、社会的な経験を積み、情報・思想・職業などを自由に選択し、政治にそれを反映し、暮らしを守ることができます。
基本的人権の尊重は、国民一人一人に平等に与えられた権利であると同時に、日本の国そのものを作るための重要な権利といえるでしょう。
基本的人権の尊重といじめ問題
人権問題といえば、「いじめ問題」が最も代表的といえるかもしれません。
特に子供同士の場合、最初は面白半分だった行動がエスカレートして、いつの間にか人権を侵害してしまう「いじめ」に発生しやすいです。
近年では、少子化や核家族化が進んでいるため、家庭での子供同士のコミュニケーション不足や、問題行為を傍観してしまうといった背景から、いじめ問題は年々深刻な社会問題となっています。
「いじめは重大な人権侵害行為」です!
大人社会にも存在する「いじめ行為」ですが、子供の場合大人とは違い、物事の分別が未熟なため、ちょっとした環境の変化や、身体的な変化によって、簡単にいじめに発展してしまいます。
また、大人が子供を虐待する「児童虐待問題」も問題視されています。
国や各自治体は子供たちの人権を守るために日々さまざまな対策を行っています。
しかし、国や各自治体ができることには限りがあります!
根本的な解決をするためには、社会全体で人権のあり方をもう一度考え直すことが重要だといえるでしょう。
「いじめ行為」「児童虐待」は重大な人権侵害行為であり、絶対に許されない行為です!!
基本的人権の尊重を理解しよう
基本的人権の尊重とは、
- 日本国憲法の三原則のひとつ
- 人間だれもが生まれながらに持っている「人間らしく生きる権利」を大事にしよう、という意味
- 自由権、平等権、社会権、参政権、請求権などの権利が含まれ、国家を形成する上で重要
です。
基本的人権の尊重を理解して、自分の権利を主張することは大切です。
また、くれぐれも他人の人権を侵害するような行為はしないようにしましょう。