IMFとは?運営の仕組みや参加国について簡単にわかりやすく解説

経済番組などの特集などでよく耳にするのが「IMF」と呼ばれる言葉です。

なんとなく聞き覚えはあるけど、言葉の意味を理解していない人がほとんどでしょう。

そこで本記事では、IMFについて解説し、過去の活動についても紹介しています。

IMFについて理解していない人は、ぜひご覧ください。

IMF(国際通貨基金)とは

IMF(国際通貨基金)とは

IMFとは「International Monetary Fund」の頭文字を取った略語で、日本語では国際通貨基金といいます。

国際金融や為替相場の安定化を目的として設立された国際連合管轄の専門機関です。

簡単に言えば「世界の経済が不安定になれば国際的に影響がある国が破綻したり、最悪の場合はそれがきっかけで紛争が起こるかもしれないから、先進国が主導して経済を安定させよう」という活動を目的とした機関です。

IMFの設立経緯

IMFが設立に至った経緯としては、世界史でも習う1929年の「世界大恐慌」が大きく影響しています。

当時はその大規模な世界の不況に対応できる金融機関や、為替を管理する国際機関が存在しなかったため、世界の経済が大混乱に陥り、最終的に第二次世界大戦に突入してしまいました。

こういった歴史的背景から、第二次世界大戦の戦勝国であった当時の連合軍各国は、戦後構想の一環として、国際金融や為替の調整を行い、世界経済を安定させるための国際機関を構想しました。これがIMF(国際通貨基金)の始まりです。

IMFの運営の仕組みとは

IMFの運営の仕組みとは

ここからは、IMFの組織構成、財源などの運営の仕組みを、項目別に見ていきましょう。

組織構成

IMFは意思決定機関として機能する「総務会」「理事会」これら2つの会で構成されています。

総務会は各国の総務大臣や中央銀行総裁などを努める総務を1名と総務代理1名を選出し、これを総務会のメンバーとします。

理事会は24名の理事によって構成されており、選出は全ての加盟国の話し合いによって決定されます。

総務会・理事会にはそれぞれ役割があり、総務会はIMFの最高意思決定機関であり、国への経済支援やIMFの今後の運営などを最終決定していきます。

理事会とは、IMFの通常業務に関する執行機関であり、簡単に言えば「IMFの運営が正しくて健全であるかどうかを見張る」役割を担っています。

財源

IMFは世界のお金にまつわる機関ですから、その財源の出所や使い方などは、一番気になるところであり、IMFの肝ともいえます。

IMFで使える財源のほとんどは、加盟国が払い込んでいる「クォータ」と呼ばれる出資割当額や、一部加盟国からの借り入れなどを原資としています。

つまりIMFに加盟している各国がお金を出し合ってIMFを運営しているのです。

このクォータには、実はからくりがあります。

IMFの運営や採決は前述したように総会で決まるのですが、加盟国には運営するための基礎票が750票あります。

IMFの運営は票による採決で決まりますが、750票の基礎票とは別に、出資額100,000SDRごとに1票獲得することができます。

つまり出資額が大きければ大きいほど、IMF内での影響力が大きくなり、お金を持っている国ほど有利ということになります。

説明責任

組織や団体などが不祥事や事故などを起こした場合、その当事者や組織や団体の代表が説明責任を果たす義務があります。

説明責任の義務についてはIMFも同じで、加盟国189か国によって運営され、加盟している各国の経済に大きな影響を及ぼします。

よってIMFは加盟国の政府に対しての責任を負う必要があります。

よって、「IMFの運営により、ある加盟国の経済状況をさらに悪化させた」「IMFの措置によって為替が混乱した」などといった場合は、しっかりと説明責任を果たし、適切な対策や処置を講じることが、IMFの義務となります。

IMFの参加国とは

IMFの参加国とは

IMFには189の国が加盟していて、出資額により発言力などが異なります。

IMFにはどのような国が参加し、どのくらいの出資を行っているのでしょう。

そこで、IMFの参加国の中でも、出資額の高い上位10ヶ国を紹介します。

<2018年度の出資額上位10ヶ国>

順位 加盟国 出資額(100万SDR) 出資額の割合 票数の割合
1 アメリカ 82,994.2 17.46% 16.52%
2 日本 30,820.5 6.28% 6.15%
3 中国 30,482.9 6.41% 6.09%
4 ドイツ 26,634.4 5.60% 5.32%
5 イギリス 20,155.1 4.24% 4.03%
6 フランス 20,155.1 4.24% 4.03%
7 イタリア 15,070.0 3.17% 3.02%
8 インド 13,114.4 2.76% 2.64%
9 ロシア 12,903.7 2.71% 2.59%
10 ブラジル 11,042.0 2.32% 2.22%

2018年度の出資額では、経済大国1位であるアメリカが圧倒的に出資しています。

16%以上の票数を所持しているので、IMF内でも大きな影響力を持っているといえます。

票だけを単純に見れば「結局アメリカ主導じゃないか」と思ってしまいますが、これを国際情勢や各国との関係性で見ると、また見方が変わってきます。

つまり影響力や発言力はアメリカが圧倒的ですが、アメリカ以外の各国が連携すればパワーバランスを均等にすることができます。

例えばアメリカの出資額は82,994.2となっていますが、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアなどのヨーロッパ勢が連携すれば82,014.6となりアメリカと同等の影響力を持つことになります。

各国の関係性や国際情勢など、普段から報道番組で取り上げられますが、これらのことはIMFにも大きな影響を及ぼすということはしっかりと覚えておきましょう。

IMFのこれまでの活動とは

IMFのこれまでの活動とは

IMFの仕組みや各国の力関係などは理解できたかと思います。

しかし、IMFのこれまでの活動や実際の実績などについてはいまいち想像できない人も多いでしょう。

そこでIMFが実際に行った過去の活動や実績などを見ていきましょう。

英国IMF危機

戦後間もない1960年代のイギリスでは「ゆりかごから墓場まで」と言われる充実した社会保障制度や基幹産業の国有化など、国が国民の生活を守るという安定感がひとつの形として確立されていました。

しかし、それに至るまでの極端な累進課税制度による社会的活力の低下や、充実した社会保障による勤労意識の低下などから、徐々にイギリスの経済は圧迫化します。

さらにはオイルショックによってイギリスが抱える負債は危険水準を超えてしまい、1976年にイギリスはとうとうIMFの救済を受け入れる決断をします。

IMFはイギリスへ39億ドルの緊急支援を行う条件として、財政赤字の縮小、財政規律の目標と計画案の策定を要請し、イギリス政府はこれを受け入れます。

IMFに救済申請を行うまでの経緯は以上ですが、イギリスを経営状況の悪い企業に例え、IMFをお金を出資する銀行で例えるとわかりやすいです。

つまり「経営立て直しに必要なお金を出資するから、その代わり運営方法やルールの変更などはこちらの意見を優先的に採用してね」ということです。

国の運営にIMFが関わるため、出資条件としては厳しくなりますが、これによってイギリスは大幅な政策転換を余儀なくされ、結果的には戦後体制の抜本的な改革への布石となり、現在のイギリスへつながることになりました。

アジア通貨危機

アジア通貨危機とは、1997年7月にタイを中心に始まったアジア各国の急激な通貨下落のことをいいます。

これによって当時の東アジア、東南アジアの各国経済に大きな影響を及ぼしました。

アジア通貨危機のきっかけであるタイの当時の状況は、発展途上国の中でも急激な成長をしている国のひとつで、低コストでのドル調達が可能なオフショア市場の役割も果たしていました。

それにより日本をはじめとする各国の企業はタイへの生産移転を進め、外資系企業主導による輸出の大幅増が起こり、タイの経済成長は一気に加速します。

しかしその代償として、日本をはじめとする各国の企業が、タイへの海外資本に大きく依存する構造になってしまい、この構造が通貨危機の原因となりました。

つまり、当時のタイはバブル期であり、そのバブルがはじけてしまったことによって、タイに依存していたアジアの外資系企業が大打撃を受けてしまい、アジア全体が通貨危機に陥ったということです。

タイ政府は1997年にIMFへ資金援助を要請し、総額160億ドルの融資がタイに支払われることになりましたが、公的支援策により結果的にタイは大きな打撃を受けました。

結果的にアジアの経済は落ち着きを取り戻しましたが、アジア通貨危機の原因である資産移動は、IMFが推進していることでもあったため、アジア通貨危機拡大の原因はIMFにもあると指摘されています。

IMFについて知ることで世界経済がわかる

IMFとは「世界の銀行」ともいえる位置づけの機関です。
世界経済に与える影響力は高く、各参加国がもつ影響力は出資額によって決まっています。

しかし、1つの国に力が集中しないような仕組みもあるため、各国の連携や関係の方が重要といえるでしょう。

主にお金にまつわる機関ではありますが、出資国や仕組みを知れば、世界経済だけでなく国と国との力関係や、情勢による影響も見えてきます。