介護問題とは?介護難民や老老介護、虐待など7つの課題を解説

内閣府の調査によりますと、平成30年1月時点で65歳以上の人口は28.1%です。

いつまでも健康で生きられれば良いのですが、介護が必要になるケースもあるでしょう。

今後の日本を考えていくうえで避けられない介護問題についてまとめました。

介護問題1.介護難民|介護サービスを受けられない人が増加

介護難民病気や年齢による衰えから、介護が必要になることがあります。

通常ならば、以下の流れで介護を受けます。

<介護を受けるまでの流れ>

  1. 市区町村の窓口に介護認定の申請をする
  2. 市区町村の担当者やケアマネジャーによる聞き取り調査を受ける
  3. 主治医の意見書も参考に介護認定を受ける
  4. ケアマネジャーと一緒に介護施設や自宅での介護計画を立てる

要介護認定や要支援認定を受けたとしても、介護施設の空きがなければ、もしくは自宅を訪問してくれる介護スタッフがいなければ、介護サービスを受けることはできません。

実際に、介護サービスを受けたい日に受けられない人や、介護の方法・回数・時間が充分ではないサービス利用者も出てきています。

介護問題2.老老介護・認認介護|老人が老人を介護する現状

老老介護介護スタッフの不足だけでなく、介護施設の受け入れにも限りがあることから、介護サービスに100%頼ることは現実的ではありません。

日々の生活の介助は、同居家族などが対応することが一般的です。

高齢化社会が進む中、65歳以上の高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が増えています。

介護者自身が若く健康だといえない状況で介護をおこなうため、精神的・身体的負担が大きく、一度、健康を損なうと共倒れになる危険をはらんでいます。

また、認知症患者が認知症患者を介護する「認認介護」も問題です。

介護をする人自身の認知能力が充分といえない状態で介護をおこなうため、薬の飲み忘れや衛生管理の不備が発生しやすくなってしまいます。

介護問題3.高齢者への虐待問題|介護施設や家庭内で多発

高齢者への虐待問題介護スタッフが不足していても、介護の仕事が減るわけではありません。

それどころか介護を必要とする人は増えているわけですから、必然的に介護スタッフ1人あたりの仕事量は増えてしまいます。

仕事が多いことや体力・気力を使うことなどでストレスが溜まり、介護スタッフが要介護者を虐待するケースも少なくありません。

また、自宅で家族が介護をおこなう場合も、仕事や家事に加えて介護の負担まで1人にかかってしまうと、心身の負担が多すぎて要介護者を虐待してしまうことがあります。

介護問題4.高齢者の一人暮らし|孤独死のリスクが深刻化

孤独介護を必要とする人が、一人暮らしをしている場合もあります。

外部の介護サービスを定期的に受けていたとしても、介護サービスを受けていないときには充分に食事や衛生管理ができず、体が衰弱してしまうことも珍しくありません。

また、介護サービスを受けていないときに孤独死するリスクもあります。

介護が必要であっても介護認定を受けていないケースでは、孤独死のリスクはさらに高まります。

昔と比べると、地域や家族のつながりが希薄になっている現代において、孤独死は決して特殊な事例ではないのです。

介護問題5.成年後見人トラブル|権限乱用で財産管理トラブル

トラブル成年後見人とは、認知症などにより判断能力が衰えてしまった人の財産を管理する人です。

弁護士や税理士などの、法律関係の有資格者が成年後見人になることもありますが、子どもや孫などの親族が家庭裁判所を通して成年後見人になることも多いです。

本来、成年後見人は、財産を保有している人の利益になるように、不動産を売買したり預貯金を引き出したりしなくてはいけません。

しかし、成年後見人自身の利益になるように財産を利用するケースもあり、数多くのトラブルが発生しています。

介護問題6.介護業界の人手不足|「5K」と言われる労働環境問題

人手不足高齢化社会は、ますます進んでいくと予想されています。

平成30年1月に公表されたデータでは、65歳以上の人口は28.1%でしたが、2035年には33.4%、2060年には39.9%と4割に迫ると推計されています。

高齢化が進むと介護スタッフの需要も高まりますが、現状でも介護スタッフは不足しており、将来的にはさらに介護職従事者の不足が問題になるでしょう。

介護の仕事は5K(危険・汚い・きつい・臭い・暗い)といわれるほど労働環境が厳しく、介護スタッフを志望する人が少ないことも介護職不足の原因の1つです。

<65歳以上の高齢者人口の割合>

2018年 2035年 2040年 2050年 2060年
28.1% 33.4% 36.1% 38.3% 39.9%

※2035年以降は推計です
<参考:内閣府「将来推計人口で見る50年後の日本」

給料の低さも人手不足の原因

介護職の仕事自体がきついだけでなく、給料の低さも人手不足の原因です。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、全産業の平均給与(月給)は306.2千円ですが、介護職従事者の平均月収は192.6千円と、約2/3しかありません。

労働量が多く、なおかつ給与が低いとなると、介護スタッフになりたいと希望する人が少ないのも当然のことと言わざるを得ません。

過重労働による虐待被害を防ぐためにも、介護職の賃金改善は早急に対策しなくてはいけない課題と言えるでしょう。

<参考:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」

<参考:公益財団法人 介護労働安定センター「平成30年年度介護労働実態調査 労働者調査p.33」

介護問題7.高齢者の暴力|認知症による暴力・暴言が家族や職員に

高齢者の暴力介護スタッフの暴力行為で要介護者が被害を受ける…という構造が常に当てはまるわけではありません。

高齢者の暴力や暴言に悩まされる介護スタッフや家族も少なくないのです。

元々の気質から暴力・暴言といった問題行動に出る高齢者もいますが、認知症の症状が進んだことで暴力・暴言がひどくなるケースも多いです。

現実を正しく認識していないことから被害妄想が生じ、単に歯や耳などのケアをおこなうだけでも「ケガをさせるつもりか!」と激昂したり殴る・蹴るといった暴力行為に発展したりすることも珍しくありません。

認知症患者が暴力的になる理由としては、次の事柄を挙げられます。

<認知症患者が暴力的になる理由>

  • 不安感が強まっている
  • 気持ちのコントロールが難しい
  • プライドが傷つけられている

もちろん個人差がありますので、すべての認知症患者に当てはまるわけではなく、暴力的にならずに無気力になる方もいます。

介護問題は、国はもちろん国民全体で取り組むべき課題

介護問題は、国はもちろん国民全体で取り組むべき課題

現在も、介護スタッフの不足や暴力行為などのさまざまな介護問題が発生していますが、高齢化社会が進むことで、今後さらに問題は増えていくと予想されます。

もちろん、介護施設や介護職の労働状況の改善などは国が中心となって取り組むべきですが、国民も情報を積極的に取り入れ、真剣に向き合うべきといえるでしょう。