奨学金を返済免除できる人の条件と申請方法について
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奨学金制度の支援で進学・卒業したものの、奨学金の返済が重荷となっている社会人も多く存在します。
本記事では、奨学金の返済免除をできる条件や申請方法について解説しています。
また、免除条件の対象外の人向けに、活用したい別制度についても紹介しています。
目次
奨学金を返済免除できる3つの条件とは
奨学金の返済免除制度は存在します。
しかし、すべての人が返済免除できるわけではありません。
もし、簡単に返済免除ができてしまうのであれば、日本学生支援機構は奨学金を必要としている学生に、奨学金を給付できなくなってしまいます。
そこで、奨学金の返済を免除できる対象者となるために必要な条件について紹介します。
条件1.特に優れた業績による返還免除
1つ目の奨学金の返済が免除される条件は「特に優れた業績を残す」ことです。
優れた業績とは、学業に限ったことではありません。
「大会で優勝した」、「研究が認められた」、「ボランティア活動をした」など、あらゆる実績が評価されます。
どれも簡単なことではありませんが、実績を評価されれば大学から返還免除が推薦されます。
在学中に優れた業績を残すような学生は、将来、社会に出てからも優れた業績を残す可能性があり、さまざまな分野で国の発展に貢献することを期待されています。
そのため、日本学生支援機構がこれまでの業績と今後の期待を評価して認められた奨学生の場合、将来の負担となる奨学金の返済を免除します。
なお、適用の対象となるのは、大学院において第一種奨学金の貸与を受けている奨学生に限られます。
返済免除額は全額と半額の2種類あり、全額免除を受けられるのは特に優秀な奨学生に限られます。
一方、半額免除に関しては、在学中の学内選考さえ通れば返済免除を受けることができ、成績がいまいちでも教授の推薦があれば学内選考は通過できる可能性があります。
条件2.死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除
2つ目の奨学金の返済が免除される条件は「奨学金を受けた者が死亡、または仕事ができない状態になった場合」です。
奨学金の給付を受けていた本人が死亡したり、精神や身体の障害によって労働ができなくなったりして返還ができなくなった場合、奨学金の返済免除が適応されます。
条件3.免除職に就いたときの返還免除【現在は廃止】
3つ目の奨学金の返済が免除される条件は「卒業後、教育職や研究職などに就いた場合」です。
定められた教育職や研究職などのことを免除職といい、この制度のことを返還特別免除制度といいます。
返還特別免除制度は、現在は廃止されている制度です。
対象となっていたのは、次の場合でした。
- 2004年3月31日以前に大学院で第一種奨学金を日本学生支援機構から貸与されていた場合
- 1997年以前に大学学部・短期大学・高等専門学校に入学し、第一種奨学金の貸与を受け、所定の条件を満たした場合
特に優れた業績による奨学金返済免除の方法
特に優れた業績による返還免除を受けるためには、在学する大学長が日本学生支援機構へ推薦する必要があります。
2018年度には、返還免除制度が改善され、大学院へ進学した「第一種奨学金の貸与を受けた者」に対して、返還免除者の割合が全体の約30~45%に拡充されました。
つまり、大学院へ進学した学生の多くが、返済免除制度を利用できるようになりました。
なお、奨学金の返済免除対象者は「大学院生」に限ります。
大学生では申請できませんので注意が必要です。
奨学金の返済免除を希望する場合、奨学金免除申請を提出する必要があります。
詳しい手順は大学によっても異なるので、各大学の学生支援センターに相談してみてください。
また、奨学金免除を申請するときにはいくつかポイントがあります。
ポイントを押さえて、確実に推薦されるようにしましょう。
ポイント1.自己アピールをして高評価を得る
奨学金の返済免除申請書では、できるだけ高評価を得られる情報を記載して、自分をアピールしましょう。
奨学金免除者には大学ごとに上限があり、すべての人が申請できるわけではありません。
実績を点数で評価して、成績の良い一部の人が奨学金免除を受けられます。
そのため、順位を上げ、より確実に奨学金免除を受けられるように、自分の実績が世間で有意義であることをアピールする必要があります。
「大学院で行っている研究内容と結果」「学会などの教育研究活動の業績」など、今までの実績を上手くアピールしましょう。
返済免除申請書の記載内容についても、「プレゼンテーション能力」として評価基準の一つになるかもしれません。
ただし、虚偽や過度な誇張は逆効果です。
事実と違うことは認められません。むしろ、減点対象となって奨学金返済免除者の対象外になるでしょう。
例え勘違いでも問題です。
申請前には内容に間違いがないかを十分確認し、友人や教授にも申請書に問題が無いか確認してもらうのがおすすめです。
ポイント2.学外での成績・活動実績もアピールする
奨学金の返済免除申請書では、学業や研究の他にも、学外での活動をアピールすることも重要です。
ボランティアを始め、学会での活動、海外留学、商品開発、研究テーマのジャーナル化など、あらゆる活動実績が評価されます。
大学院生は研究などで忙しいかもしれませんが、奨学金免除者になるために、さまざまなことに挑戦しておくと良いでしょう。
未知なる経験は、自分の世界と考えを広げる役にも立ちます。
学外での活動を証明するためには、新聞の切り抜きやボランティア職員カードなど、証明をできる物が必要です。
活動を証明するものが無ければ実績は認められませんので、必ず証拠になる物を残しておくようにしましょう。
死亡又は精神若しくは身体の障害による奨学金返済免除の方法
奨学金を受けた者が死亡、または仕事ができない状態になった場合に、返還免除を受けるためには各種届出が必要です。
自己申告だけでは、虚偽の障害者申請で返済免除を受けようとする人もいるためです。
免除申請する際には「本人が死亡した」証拠となる戸籍票や、「仕事ができないほどの障害者」であることを記載した医師の診断書などの提出が必要です。
そのため、障害などにより働くことが難しくなった場合などにも、奨学金の返済免除を申請できます。
また、後遺症による問題だけではなく、ADHDやアスペルガー症候群などの発達障害も対象です。
免除職に就いたときの奨学金返済免除の方法【現在は廃止】
免除職に就いたときの奨学金返済免除は、現在は廃止されています。
内容としては、返還免除の対象となる期間に第一種奨学金を借り、卒業後教育職や研究職などの免除職に就いた場合には、「奨学金返還特別免除願」を提出する必要がある、というものでした。
合わせて免除職に就業していることを証明書する書類も必要で、職名が変更するたびに届け出る必要がありました。
奨学金の返還が難しいときに利用できる返済免除以外の制度
奨学金の返還が難しい場合、奨学金の返済免除以外にも、返済の負担を減らす制度があります。
奨学金の返還が厳しく、返済免除の条件を満たすことのできない人向けに、大学卒業後に利用できる奨学金の返済に関する制度を紹介します。
減額返還制度
減額返還制度は、「毎月の返済額を減額返還できる制度」のことです。
災害や病気、経済状況などの理由から、奨学金の返済が困難になった人が対象です。
減額返還制度では、毎月の返済額を減額する代わりに返済期間が延長されます。
例えば「毎月10万円の返済を10年間」だったものを「毎月5万円の返済を20年間」に変更できます。
1回の申請で1年の延長、最長で15年(15回)の申請が可能です。
減額返還制度を申請しても返済金額の総額は減額されませんが、月の返済額が減ることで生活に余裕が生まれます。
毎月の奨学金返済が生活を圧迫しているのであれば、減額返還制度を申請すると良いでしょう。
返還期限猶予
返還期限猶予は、「奨学金の返済を延ばす制度」です。
災害や病気、経済状況などの理由から、奨学金の返済が困難になった人が対象です。
返還期限の猶予では、毎月の返済を一時的に停止できます。
減額返還制度との違いは、「期間中は奨学金の返済が不要」という点です。
期間中は返済せずに、延長期間が終了したら申請前と同じように返済が再開されます。
返済額に変更はなく、返済期間の先延ばしでしかありませんが、延長期間中は返済を考えずにゆっくりと静養などが可能です。
なお、返還期限猶予の申請にはマイナンバーが必要です。
願出用紙と一緒にマイナンバーを提出しましょう。
奨学金の返済で困っている人は免除制度を検討しよう
奨学金には返済を免除する制度が存在します。
将来の負担や不安をなくすためにも、奨学金の返済免除制度の利用がおすすめです。
しかし、免除対象に選ばれるには在学中に学業や学外の活動で評価を得る必要があるので、アピールできる実績を準備しておきましょう。
返済免除の条件を満たせない場合には、減額返還制度と返還期限猶予制度もあります。
奨学金の返済が負担になるようであれば、こちらの制度の利用も検討しましょう。