いじめの原因はどこにある?発生しやすい状況や対処法も紹介

いじめは昔からありました。

しかし、近年、いじめは社会問題となり、深刻な問題として受け止められるようになっています。

「いじめはいけないこと」と認識をもつのは当然ですが、それだけでは解決に近づきません。

いじめの原因や対処法についてまとめました。

いじめが起きる原因

いじめが起きる原因
いじめは、特定の人物の行為や言葉が別の人に苦痛を与えることを指します。

また、それらの行為や言葉が何度も繰り返されることも、いじめの特徴と言えます。

いじめはなぜ起こるのでしょうか?

答えが分かっているなら、いじめに対して何らかの対策をすることができます。

しかし、いじめは常に同じ状況で起こるわけではなく、ましてや原因を探ることは簡単ではありません。

「いじめる人が悪い」「いじめられる人にも問題がある」と結論付ける人もいますが、かならずしも「いじめる人」と「いじめられる人」の二極構造になっているとも限らないのです。

いじめの定義について、こちらの記事で詳しく解説しております。

いじめが起きやすい環境

いじめの原因を絞ることは難しいですが、いじめが起こりやすい環境を特定することは特に難しいことではありません。

いじめが起こりやすい環境下では、だれもが「いじめる人」になる可能性がありますし、反対に「いじめられる人」になる可能性もあるのです。

とりわけ次の2つの環境下では、いじめが起こりやすいと言えるでしょう。

迷惑行為に対して過敏な環境

皆が同じでなければならないという圧力の強い環境では、いじめが起こりやすくなります。

例えば「他人に迷惑をかけないように」と教えること自体は、悪いことではありません。

しかし、「他人に手間取らせることはすべて迷惑行為」「〇〇さんだけ仕事が遅いから迷惑だ」「ミスは連帯責任になる」という風に、迷惑をかけること・迷惑をかけられることに対して過敏になると、いじめは起こりやすくなります。

高ストレスの環境

強いストレスを受けている人は、気持ちに余裕がなくなりがちです。

気持ちに余裕がなくなると、他人に対して強い言葉を使うだけでなく、わざと意地悪なことを言ったりしたりすることがあります。

例えば、家でいつも親に押さえつけられている子どもは、学校や学習塾などの習い事先といった大人の目の届きにくい場所で、自分よりも気の弱そうな子どもをターゲットにして執拗ないじめをおこなうことがあります。

いじめの件数

いじめの件数

文部科学省の調査によりますと、いじめの件数は2006年から飛躍的に増加し、年々右肩上がりに増える傾向にあります。

しかし、この調査結果から年々いじめが増加しているとは一概にはいえません。

文部科学省の調査によるいじめの件数は「学校がいじめだと認知した件数」です。

件数の増加は、いじめ問題に対して力を注ぐ学校が年々増えていることや、世間からの問題意識が高くなっていることも要因のひとつです。

例えば、報道などでいじめ問題が注目されると、いじめ問題に対するアンケート調査や子どもの観察などに力を入れる学校が増えるため、いじめの認知件数が増えることになります。

つまり、いじめ件数の増加は、学校側が認知できた件数の増加ともいえ、学校によるいじめ問題対策が年々整ってきたともいえるのです。

<小学校・中学校・高校におけるいじめの件数>

2004年 2005年 2006年 2012年 2016年
21,671件 20,143件 124,898件 198,109件 323,143件

<引用元:文部科学省「問題行動等調査」P.13

かつては、いじめを「いじめではない」と否定してしまうケースが多くありました。

いじめを受けている人がどんなに「つらい」「いじめだ」と訴えても、いじめをしている人だけでなく学校側も「ふざけているだけ」「いじっているだけ」といじめを認めないことが多かったのです。

もちろん現在も「ふざけ」「いじり」という言葉でいじめを認めない人はいますが、徐々に「いじめられていると感じたら、いじめだ」という風に変わってきています。

最もいじめが多いのは中学1年生

最もいじめが多いのは中学1年生
文部科学省のデータでは、いじめ行為がもっとも多く認知されているのは中学1年生です。

中学生になると部活が始まって忙しくなるだけでなく、制服や髪型などの規制が増え、強いストレスを感じる生徒が増えます。

強いストレスがいじめという行為に転換され、中学1年生のいじめ件数増加に影響を与えていると考えられます。

ストレスの原因は部活や規則だけではありません。

親や教師から「勉強しなくてはいけない」という圧力をかけられ、大きなストレスを感じている子どももいます。

反対に、親や教師が「勉強」と言わなくても、「勉強しなくてはいけない」と自分でプレッシャーをかけ、ストレスが増す子どももいます。

いじめの内容

いじめは、悪口や身体的な暴力、集団による無視だけではありません。

最近はネットいじめも増えています。

ネット上で悪口を言ったり仲間外れをしたりするだけでなく、現実の社会にもネット上の悪口や仲間外れを持ち込みます。

いじめの起こりやすい時期

小学生と中学生を対象に行われたいじめに関するアンケート結果では、先生の目がなくなりがちな、お昼休みの時間と休み時間、登下校の時間に行われたいじめが多い、という結果がでています。

また、いじめが起こる時期も、新学期や夏休み明けが多くみられ、子どもたちの環境の変化によるストレスも関係していると考えられます。

いじめの起こりやすい時期

<引用元:平成28年度 大津市いじめの防止に関する行動計画モニタリングに係るアンケート調査結果いじめ調査結果(調査結果分析Ⅲ 72ページ)>

いじめられやすい子どもの特徴

いじめられやすい子どもの特徴

いじめのターゲットの対象になりやすい子どもは、「いや」という言葉をうまく言えないことが多いです。

最初はちょっとした「いじり」程度でも、「いや」と言わないことで執拗な「いじめ」へと発展することがあります。

いじめているほうも「友だち間のいじり」感覚で始めたため、いじめを自覚できないまま続けてしまいます。

周囲に合わせるのが苦手であったり、まわりと違う特徴、少数派に属している子どもも、いじめのターゲットになりやすいです。

勉強が苦手な子ども、高い評価の成績をおさめている子ども、裕福な家庭の子どもたちの中での貧しい子どもなど、能力や上下のラベリングがつくられやすい環境のなかで、特定の集団の中で少数派となる子どもは狙われやすいのです。

いじめを起こしやすい子どもの特徴

いじめを起こしやすい子どもの特徴

いじめを起こす子ども側にも少なからぬ共通点が見られることがあります。

攻撃性が強い言葉を使う子どもや執拗な性格の子ども、上下関係を異常に意識し常にだれかを見下していたい子どもは、いじめの主犯格になりやすいです。

いじめを起こしやすい子どもの多くは「いじり」をコミュニケーションの手段として捉えている傾向があります。

家やその他の環境で強いストレスを抱えている子どもも、いじめ行為をする可能性があります。

また、いじめ行為に同調する子どもや見て見ぬふりをする子どもも、いじめの当事者です。

集団の中で自分の意見を言えない子どもや「いじめられたくない」という気持ちが強すぎる子どもも、いじめ問題を深刻化させています。

いじめに気づくきっかけ

いじめに気づくきっかけ

いじめは、周囲が「これはいじめだ」と気付くことで早期に解決できます。

  • クラスの中で、すべての子どもが自分の意見を言えているでしょうか?
  • 不登校になったり遅刻や早退が増えてはいないでしょうか?
  • 急に怒りっぽくなったり落ち込みやすくなったりと感情が激しくなっていませんか?
  • パソコンやスマホを常に気にしていませんか?
  • 集中力に欠け学習に不調をきたしていませんか?
  • お小遣いや以前より早いペースで靴やノートをほしいと言うようになっていませんか?

日頃からの動向をチェックすることで、いじめの早期に対処できます。

いじめは「誰か」におこるものではなく、身近でおきるものだという認識が重要です。

子ども(お子さんや生徒)の小さな変化を見落とさないように注意し、子どもが相談しやすい雰囲気を作るようにしてください。

常日頃から雑談などの話を気軽にできるような関係づくりをしているとよいでしょう。

いじめが起きる前に相談できる場所があることを子どもに伝える

いじめが起きる前に相談
子どもには「何か問題や悩みがあるなら一人で悩まずに親や家族、友達や学校先生など周りの人たちを頼り相談する」ことを伝えておくことが必要です。

いじめられている子どもは、いじめを誰かに相談するのが恥ずかしかったり、逃げていると思ってしまう場合があり、子どもにいじめの有無を確認しても、いじめられている辛い気持ちを隠し事実とは異なる答えを返すことがあります。

そうしている間に軽度ないじめがエスカレートし重度のいじめに発展することもあります。

そうなる前に、子どもに一人で抱え込まないでSOSを受け止める場所と人がいることを事前に伝えておきましょう。

いじめの予防法

「個性は尊重すべきものだ」「できないことはできる人がカバーすれば良い」と、多様性を認める社会、融通の利く環境を作ることが大切です。

「迷惑」に対して強く反応する環境は、学校だけでなく会社やPTA、教育委員会、先生間、町内会などのありとあらゆる場所に存在し、大人であってもいじめをする人は大勢います。

生きることは関わることです。少々のことは「迷惑」「関係ない」と思わずに「お互い様」と思うことから、いじめのない世の中を作っていきましょう。

いじめというものは、精神的もしくは身体的な苦痛を繰り返し与える行為です。

つまり、大学のように教科によってメンバーが変わる流動的な環境では、いじめは起こりにくいのです。

クラス替えを頻繁におこなうことは現実的ではありませんが、教師が子どもたちのグループが固定しないように配慮することもいじめ対策になるでしょう。

いじめが起きたときの対処法

いじめが起きたときの対処法
いじめが起こったときには、「いじめる行為はいけない」ということを大人がはっきりと子どもに伝えることが大切です。

大人が「いじめられるほうにも何か原因があるのだろう」ということを言葉や態度で示してしまうと、たとえ一時いじめがなくなったとしても、またすぐにいじめが起こります。

しかも、大人に気づかれにくいように、最初よりも陰湿ないじめへと発展するケースが多いのです。

いじめる側は加害者であり、いじめられた側は被害者であるという認識が必要です。

喧嘩といじめは別物ですから、いじめにおいて「喧嘩両成敗」は通用しません。

いじめる側が一方的に他人を傷つける行為をしているのです。

正しいいじめはありません。

どうしてもいじめが解決できないときは、今の環境から両者を切り離すことが大切です。

その場合も、いじめている側が移動するように配慮しなくてはなりません。

いじめる側がどんなに「いじめられる相手に問題があった」という理由を主張しようと、それを「いじめ」という方法で表現した時点で、いじめる側に一方的な問題があったと言えるのです。

もし自分の子どもがいじめられていたら

自分の子ども
子どもがいじめられたとき、まず大切なのは子どもの心のケアです。

子ども自身は悪くないということ。

自分たちは味方であり一人ではないこと。

以上を伝え接してください。

そして、子どもにこうなればいいなということを書き出してもらい、内容を確認し子どもと話しあってから、いじめ解決に向けてこれから動いていくという姿勢を見せ、子どもが安心できるようにすることが大切です。

いじめは様々な原因が複合して起きるため、家庭だけでいじめの問題を解決するのは難しいのが現実です。

家庭だけで対応しようとせず、いろいろな人や公共機関や学校に助けを求めることも大切です。

国(文部科学省)の相談機関として、「24時間子どもSOSダイヤル」があります。

いじめ問題をはじめ、子どものSOS全般に悩む子どもや保護者が相談できるよう、都道府県及び指定都市教育委員会が、夜間と休日を含め24時間対応可能な相談体制を整備しています。

いじめが起こりにくい環境を作り早めに対処しよう

いじめの原因を特定することは難しいですが、いじめが起こりにくい環境は特定できます。

多様性を認め、他人との関わりを「迷惑」という言葉以外で考えるようにし、子どもに過剰なストレスがかかっていないか常に目を配ってください。

そして、いじめを早期に察知し、早期に対処するようにしましょう。