給料未払いで泣き寝入りしない!賃金を請求するための法的対策を紹介
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労働の対価として給料を受け取ることは、労働者の当然の権利です。
しかし、経営不振などの理由で給料が未払いになるケースもないわけではありません。
給料未払いのときの対処法について詳しくまとめました。
現在、未払いでお困りの方はもちろんのこと、今後のためにもぜひご一読ください。
給料未払いは違法!ただし請求は2年で時効になるので注意
給料未払いは違法です。
そのため、給料や残業代などが支払われない場合は、正しい手順を踏んで法的な手続きをすることで、雇用側にきちんと支払ってもらうことができます。
しかし、請求しないでいつまでも放置していると消滅時効(請求権を失う時間的期限)が成立し、未払い分の給与を受け取れなくなってしまいます。
消滅時効が成立するタイミングはケースによって異なりますが、給料未払いに関しては2年で成立します。
給料を受け取るという当然の権利を放棄してしまわないためにも、時効成立前に請求手続きをおこなうようにしましょう。
給料未払いになったら?泣き寝入りしないための8つの対策
「給料未払いのまま泣き寝入りをしたくない」とは思っても、何から手をつけてよいのか分からない方も多いでしょう。
社長や上司に「払ってください」というだけで解決すれば良いのですが、実際にはそんな簡単に進みません。
もし、あなたの給料が未払いであったとき、また、これから給料未払いが起こったときは、以下の8つの手順で未払い分の請求をおこなっていきましょう。
<給料未払い時の請求手順>
- 請求に必要な証拠を集める
- 会社との話し合いの場を設ける
- 内容証明郵便を使って請求する
- 労基違反として労働基準監督署に申告する
- 民事調停などに進む
- 支払督促を申し立てる
- 少額の場合は少額訴訟債権執行を検討する
- 裁判所に「差押」「仮差押」を実行してもらう
給料未払い対策1.まずは請求に必要な証拠を集めよう
給料未払いであることを証明する証拠がなければ、未払い分を支払ってもらうことは難しくなります。
社内で問題を解決できないときは労働基準監督署や裁判所に解決を依頼することになりますが、証拠がなければ依頼すらできません。
以下の書類のうち、手に入るものをできるだけ多く集めておきましょう。
未払い分の請求に活用できる証拠書類 |
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給与明細書、タイムカード、業務日誌のコピー、就業規則、勤怠表、雇用契約書
給料振込に利用している口座の通帳、その他の労働状況や契約内容が分かる書類 |
給料未払い対策2.会社との話し合いの場を設けよう
「できれば未払い分を支払ってもらった後も、退職せずに現在の会社で働き続けたい」と考えている方なら、問題をあまり大ごとにしないほうが好ましいでしょう。
労働基準監督署の世話にならずに、できれば社内でトラブルを解決したいものです。
まずは直属の上司ではなく、社長や取締役などに給与未払いを示す証拠書類を提示し、速やかに支払うように告げてください。
それでも解決しない場合は、他の部署の上司に相談してみましょう。
給料未払い対策3.内容証明郵便を使って請求しよう
話し合いでは給料未払いを請求したという記録が残りません。
そのため、後で「〇月〇日に未払い分を請求しましたよね?」と社長や上司に言っても、「そんな話はした覚えがない」と言い切られてしまう可能性があります。
話し合いだけで2年以上が過ぎてしまうと、未払い分を請求できる時効も過ぎてしまいます。
未払い分の請求をおこなったという証拠を残すためにも、言葉だけではなく紙面で未払い分の請求をおこない、内容証明郵便で勤務先に送りましょう。
内容証明郵便とは
いつ、どのような内容の文書を誰から誰に送ったかを証明するための郵便を「内容証明」と呼びます。
内容証明郵便を送付できる郵便局は限られていますので、あらかじめ調べてから郵便局に出かけてください。
内容証明郵便を送付するときは、以下のものを忘れずに持って行きましょう。
手続き上、必要になることもあるため、印鑑を持って行くこともおすすめします。
内容証明を郵送する際に必要なもの |
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給料未払い対策4.労基違反として労働基準監督署に申告しよう
内容証明郵便を送付しても真摯な対応をしてもらえないときは、労働基準法違反として労働基準監督署に申告しましょう。
会社の所在地を管轄している労働基準監督署を調べ、給料未払いの様子が分かる書類を携帯して行きます。
労働基準監督署が法律違反だと判断したときは、勤務先へ注意勧告をしてもらえます。
ただし、労働基準監督署には未払い分の支払いを会社に強制する権限はないため、注意勧告後に勤務先が支払いに応じるとは限りません。
給料未払い対策5.法的対応に進む!民事調停などを開こう
労働基準監督署が会社に注意勧告をおこなっても、勤務先側が支払いに応じないときは、法定対応に進みます。
「できるだけ裁判をせずに話し合いで解決したい」という場合なら、会社の所在地を管轄する簡易裁判所に行き、民事調停を申し立てましょう。
民事調停では、通常の裁判のように勝ち負けを判断しません。
調停委員を交えた席で話し合いをおこない、お互いが納得できる合意点を導き出します。
ただし、合意点が見つからないときや会社側が調停に出席しないときは、調停は不成立となります。
給料未払い対策6.簡易裁判所に支払督促を申し立てよう
民事調停でも給料未払いが解決されないときは、支払督促をおこないます。
支払督促は裁判所に行かなくても実施できる方法で、手間や費用をあまりかけずに紛争を解決したいときに用います。
会社の所在地を管轄する簡易裁判所に、以下のものを送付してください。
書類に不備がなければ、裁判所側から企業に法的拘束力のある支払督促を送ってもらえます。
支払督促の手続きに必要なもの |
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給料未払い対策7.少額なら少額訴訟債権執行も検討しよう
未払い分の給与が60万円以下のときは、支払督促ではなく少額訴訟も検討できます。
少額訴訟は1回の審理で解決が図られるため、スピーディに問題を対処することが可能です。
ただし、スピーディに問題を解決できる分、支払督促などと比べると提出書類が多くなります。
また、1日で終わりますが、裁判所に行く必要がある点も覚えておきましょう。
給料未払い対策8.裁判所に「差押」「仮差押」を実行してもらう
会社側に非があり、給料の未払い分を支払わなくてはいけないと裁判所が判断したときでも、かならずしも会社側がスムーズに応じるわけではありません。
未払い状態が続いている間に財産を隠してしまう…というようなことが起こらないように、裁判所に財産の差押や仮差押を実行してもらいましょう。
仮差押が失効されると、不動産に関しては不動産登記簿に「仮差押」されたという記録が残ります。
金融機関口座に関しては払い戻しができなくなるため、財産隠しが難しくなります。
給料未払いで泣き寝入りはダメ!違法行為には知識を持って対策を
給料未払いを解決することは、決して簡単なことではありません。
時間と手間がかかるだけでなく、精神的にも疲弊します。
しかし、給料を受け取るのは当然の権利なので、絶対に泣き寝入りはしないようにしましょう。
紹介した手続きを踏み、労働問題専門の弁護士事務所などに相談して早めにトラブルを解決してください。