労災とは?わかりやすく労働者災害補償保険の認定基準や請求法を紹介

労災は、勤務中にケガをしたときしか、適用されないと思っていませんか?

実は、労災が適用されるシチュエーションは多いにもかかわらず、知らずに放置して、正当な権利を手放してしまっている方も少なくないのです。

この記事では、労災とは何か、また、認定基準や請求方法をわかりやすくまとめています。

労災とは

労災とは

労災とは、労働災害のことです。

労働災害とは、通勤中や勤務中にケガをすること、また、勤務中に起こったことが原因で病気になることを指します。

ケガや病気が労災として認定されると、治療費や生活費などが労災保険から支払われます。

たとえば、工場に勤めている人が勤務中に機械によって負傷した場合は、労災だと考えられます。

また、職場で長時間事務作業をして腰痛になってしまった場合も、労災と認定される可能性があるでしょう。

労災保険(労働者災害補償保険)について

労災認定された場合は、労災保険から治療費や生活費が支給されます。

なお、労働者を雇用している事業者は、かならず労災保険に加入しなくてはいけない義務があります。

そのため、労災に該当するケガや病気が生じても「事業者が労災保険に加入していないので補償を受けられない」ということにはなりにくいです。

しかし、表向き労働者を雇い入れていないことになっている事業所で働いている場合、また、雇用という形態で仕事をしていない場合は、労災保険で補償を受けることはできないでしょう。

たとえば、知り合いに頼まれて1日1万円で引っ越し作業を手伝い、作業中に骨折をしたとしましょう。

知り合いに雇用されたわけではないため、労災保険は適用されず、治療費や生活費を受け取ることはできません。

治療費がかさむときや、本業に支障が出て収入が減ったときは、個人的に交渉して補償を請求してください。

労災保険の認定基準

労災保険の認定基準

労災保険が適用されるかどうかは、業務を遂行する上で生じたのか(業務遂行性)、そして、業務と傷病の間に因果関係があるか(業務起因性)によって決まります。

たとえば、勤務中に高所から機械が落ちてケガをしたのなら、労災保険が適用される可能性が高いと考えられます。

しかし、勤務中に同僚とケンカをして骨折した場合は、業務とは関係がない事由によるため、労災保険制度は適用されないでしょう。

また、通勤途中に事故に巻き込まれた場合は、業務を遂行するために通勤をしていたわけですから、労災保険は適用される可能性が高いです。

しかし、会社帰りにショッピングへ出かけて事故に巻き込まれた場合は、業務遂行とは無関係のため、労災保険の適用は難しいでしょう。

労災で請求できる、給付の種類

労災で請求できる、給付の種類

労災で請求できる補償には、次の種類などがあります。

補償の種類 補償の内容
療養補償給付
  • ケガや病気の治療費や診察費を全額補償
  • ケガや病気が治るまで支給される
休業補償給付
  • ケガや病気が理由で賃金を得られないときに、働けなくなった日の4日目から給付基礎日額の60%相当額と休業特別支給金の20%相当額が補償される
  • 業務上に起こった災害に関しては、働けなくなってからの3日間についても、平均賃金の60%補償される
傷病補償年金
  • 療養を1年6ヶ月以上続けてもケガや病気が治らないときは、休業補償給付が打ち切られて、傷病補償年金が支給されることがある
障害補償給付
  • ケガや病気が治ったものの障害が残ったときは、程度に応じて障害年金や傷害一時金が支給される
介護補償給付
  • 介護の程度に応じて、給付金が支給される
遺族補償給付
  • 労災によって死亡した場合は、遺族年金や遺族一時金、遺族特別支給金などが支給される

労災の申請手続きの主な流れ

労災の申請手続きの主な流れ

労災が起こり、治療費が発生したときや休業せざるを得なくなったときは、労災保険を申請することになります。

治療費受取までの流れは、以下の通りです。

  1. 労災保険の指定医療機関で治療を受ける。労災指定医療機関以外の医療機関で治療を受ける場合は、後日、労働基準監督署に治療費の請求をおこなう
  2. 労働基準監督署が労災保険の適用案件かどうかを調査する
  3. 労災保険適用と判断された場合は、労災指定医療機関に治療費が支払われる。労災指定医療機関以外の医療機関で治療を受けた場合は、労働者自身の口座に治療費が振り込まれる

労災請求の手続き
<画像引用:厚生労働省「療養(補償)給付の請求手続」

労災を請求するときの注意点!「会社の非協力」と「時効」

労災を請求するときの注意点

明らかに労災保険適用案件だと思っても、かならずしも補償が支払われるわけではありません。

とりわけ、勤務先が労災保険の申請に非協力なときは、補償を受けられない可能性があります。

実際のところ、労災保険を労働基準監督署に請求するのは手間がかかります。

労働者自身が請求することもできますが、ケガや病気に業務遂行性と業務起因性があるかどうかは勤務先で証明しなくてはなりません。

会社側が非協力だと、給付金や年金の受給がスムーズに進まない恐れがあるのです。

また、労災が起こってから保険請求までに時間がかかり過ぎているときは、補償を受け取れない可能性があります。

以下の期限を過ぎると時効が成立して補償を受けられなくなるので、早めに手続きを開始するようにしましょう。

補償の種類 時効が成立する期限
療養補償給付 治療費を支払った翌日から2年後
休業補償給付 ケガや病気によって仕事を休んだ日の翌日から2年後
障害補償給付 症状が固定した翌日から5年後
介護補償給付 介護を受けた翌月の初日から2年後
遺族補償給付 死亡日の翌日から5年後
葬祭給付 死亡日の翌日から2年後

労災補償が足りない場合の、対処の方法

労災補償が足りない場合の、対処の方法

労災保険では、必要最低限の金額しか補償されません。

治療費は全額補償されますが、休業補償給付に関しては、本来受け取れるはずの賃金全額を補償されるわけではないため、生活が苦しくなる可能性は充分にあります。

治療が長引けば長引くほど損害は大きくなり、生活に支障が出てくるでしょう。

近年は精神的症状のために労災認定されることも多いですが、精神疾患は治療が長引きやすく、金銭的損害が大きくなる可能性があります。

また、明らかに会社側の落ち度である場合も、労災保険では慰謝料がないため、精神的・身体的苦痛への対価は支払われません。

労災が認定されないときや労災では充分な補償が得られないときは、会社を相手取って民事裁判を起こすことを検討しても良いかもしれません。

労務問題に詳しい弁護士に相談し、正当なお金を受けられるように取り図りましょう。

労災の知識は万が一に備えて持っておこう!

誰もが労働災害に遭う可能性があります。

労災で補償を受けるのは労働者の正当な権利ですから、万が一のときに備えて、労災とは何か、そして、どのように請求できるのかを詳しく知っておきましょう。