子供がいない夫婦への「子なしハラスメント」!かわいそうという偏見

夫婦とは、本来、異なる家庭で育った2人による生活単位のことです。

そのため、2人で仲良く暮らしさえすれば、夫婦本来の目的は果たしていると言えます。

しかし、世の中には、子供がいない夫婦に対して嫌がらせをおこなう人がいます。

どのような嫌がらせがあるのか、また、どう対処すべきかについてまとめました。

子供がいない夫婦は「かわいそう」?

子供がいない夫婦は「かわいそう」?

「かわいそう」という言葉には注意が必要です。

相手を憐れむ言葉のため、言われた人は「低く見られている」「さげすまれている」と感じる可能性があるからです。

子供がいない夫婦に「かわいそう」という言葉を投げかける人がいます。

たいていは子供を持つ人で、子供がいない人に「かわいそう」と言うことで、マウントを取ったり優越感に浸ったりしています。

実際のところ、相手を憐れむポーズを取ることで優越感に浸る人は少なくありません。

離婚した人に「両親が揃っていないと子供がかわいそう」、一人っ子の親に「兄弟がいないとかわいそう」などと無神経な言葉をかけ、「そうじゃない私や私の家族は素晴らしい」と自分自身をほめたたえているのです。

「子どもはどうするの?」という言葉は「子なしハラスメント」になる

「かわいそう」という言葉を使わなくても、子供がいないことを理由に嫌がらせを言う人もいます。

よくあるのが「子供はどうするの?」という言葉です。

この言葉は、夫婦でいることの目的を勘違いしている人がよく発します。

本来、結婚とは夫婦2人で仲良く暮らすための手段です。

しかし、「結婚は子供を産むためのもの」だと誤解している人は、無神経にも、他人にまで自分の価値観を押し付けます。

子供を産むか産まないか、子供のいる家庭を望むか望まないかは、それぞれの夫婦が決めるべきことで、極めてプライベートなことです。

たとえ近しい間柄であっても、決して気軽に「子供はどうするの?」と聞くべきではありません。

他人のプライベートに立ち入って「子供を産むかどうか」を聞くのは、明らかにハラスメントです。

子供がいない夫婦にとっては、「子なしハラスメント」とも呼べる暴言でしょう。

「子供がいない夫婦」が増えているという統計結果

「子供がいない夫婦」が増えているという統計結果

子供がいない夫婦は、決して珍しい存在ではありません。

たとえば1985年には、「夫婦のいる世帯の中で、子供のいない世帯」は22.9%で、「夫婦のいる世帯の中の、同居の親のいる世帯」の割合と、ほぼ同じでした。

しかし、子供のいない世帯は2000年には34.2%、2015年には41.1%と増えてきており、同居の親がいる世帯の割合よりもはるかに大きくなっています。

このことからも、決して「子供のいない夫婦」は珍しいものではないことが分かります。

1985年 2000年 2015年
夫婦のいる世帯数 26,964 (100%) 29,292 (100%) 28,733 (100%)
同居の親のいる世帯数 (%) 6,097 (22.6%) 5,045 (17.2%) 3,159 (11.0%)
子供のいない世帯数 (%) 6,165 (22.9%) 10,015 (34.2%) 11,806 (41.1%)

<参考:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2018年)」

「子供がいない夫婦」という一家庭の話と国の少子化問題を直結しない

家庭の話と国の少子化問題を直結しない

子供がいないことと、日本の少子化の問題を絡めて、子供がいない夫婦に対して嫌がらせを言う人もいます。

あたかも自分が日本を代表しているかのような口ぶりで、「『子供を産まない』といった勝手な人が増えるから、日本が少子化になるんだ」と論じます。

しかし、ある夫婦に子供がいないということと、日本全体の少子化とは明らかに別問題です。

そもそも日本が少子化になっていないときも、子供がいない夫婦はいました。

実際に夫婦のうちの約1割は、男性女性どちらか、あるいは両方に原因のある不妊カップルで、子供を望むかどうかに関わらず、子供を産むことはできません(※)。

また、子供を持っているカップルであっても、「少子化解消に貢献したいから子供を産もう」と決意したカップルは、ほとんどいないでしょう。

なんとなく恋愛して親になる夫婦もいれば、子供を望んで親になる夫婦もいますが、「日本の少子化を解消したい」と考えて親になる夫婦は、滅多にいないのが実際のところです。

<※参考:日本産科婦人科学会「不妊症」

「子供を持たない」「子供が欲しい」両方とも尊重されるべき

「子供を持たない」「子供が欲しい」両方とも尊重されるべき

人間が100人いれば、100通りの幸せがあります。

夫婦も同様です。

夫婦が100組いれば、100通りの幸せがあり、それぞれ目指す夫婦の姿が異なります。

「子供を持ちたい」と考えるのも、もちろん素晴らしい考え方です。

反対に「子供を持ちたくない」と考えるのも、尊重すべき素晴らしい考え方です。

DINKs(ディンクス)として、二人で仕事をして生きていきたい、と考えている夫婦もいるでしょう。

どのような人生計画であれ、それぞれの夫婦が自分たちの幸せの形を追求し、幸せな生活を送る権利があるのです。

当然のことですが、「子供を持つほうが良いのか?」という問題には正解がありません。

子供がいて「幸せだ」と感じる瞬間があるのも事実ですが、子育てによって悩みが増えるのも事実だからです。

それぞれの夫婦の価値観を尊重し、身近な人であっても「子供がいないと後悔するよ」「子供を産める時間は短いよ」といった無神経な発言はしないようにしましょう。

子供がいない夫婦が知っておきたい「子なしハラスメント」対策

「子なしハラスメント」対策

「さまざまな価値観を尊重することが大切」という考え方は広まってきています。

しかし、相手の気持ちを思いやれない差別的な人間が、一定数存在するのも事実です。

子供がいない人なら、「子供はどうするの?」「あなたみたいな勝手な人が少子化の原因だ」と、子なしハラスメントを受ける可能性はいつでもあるのです。

もし、子なしハラスメントを受けたときは、次の方法を試してみてください。

<子なしハラスメントを受けたときの対処法>

  1. 「病院に通っているのですが…」と、深刻な顔で伝える
  2. 「他人の意見を取り入れるのではなく、夫婦で話し合っています」ときっぱりと答える
  3. 「老後は不安じゃないの?」と言われた場合は、「自分たちの世話をさせるために子供を産むなんて、私には理解できません」と答える

なお、子供がいない夫婦だけでなく、子供がいても、子供関連のハラスメントは避けがたいものです。

子供が一人なら「兄弟がいないとかわいそう」。

男の子だけ、もしくは女の子だけの家庭には「女の子(男の子)がいると良いのにね」。

兄弟が多ければ「学費はどうするの?」などと、無神経な言葉で攻撃してきます。

子供がいない夫婦・いる夫婦、幸福のかたちは人それぞれ

幸福の形は人それぞれです。

子供がいる環境を幸せだと感じる家庭もあれば、子供がいなくて幸せだと感じる家庭もあります。

自分の価値観を、他人に押し付けることがないように、そして「○○がかわいそう」といった正義の仮面で隠した優越感を振り回さないように注意していきましょう。