過労死の原因とは?危険なケースや前兆、未然に防ぐための対策を
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疲労によって体調を損ねることはありますが、疲労が直接死をもたらすわけではありません。
過労死とはどのような状況なのか、過労がどのような原因で死亡につながるのかについてまとめました。
自分の体は自分で守るためにも、ぜひご覧ください。
目次
過労死とその原因について
厚生労働省によると、過労死とは以下の原因による死亡を指します。
<過労死とは>
- 業務の負担が大きく、脳血管疾患や心臓疾患が生じて死に至ること
- 業務の負担が大きく、精神的な障害が生じて死に至ること
また、死に至らない場合でも、仕事の負担が大きいために脳血管疾患や心臓疾患、精神障害が悪化して健康を損なうこともあります。
なお、日本では過労死と判断されると労災が適用されますが、長い裁判が必要になるケースも珍しくありません。
<参考:厚生労働省「過労死等防止対策」>
過労死の危険性があるケース1.脳血管疾患・心臓疾患
充分な休養を取れていない状態が長く続くと、疲労が回復せず、脳血管疾患や心臓疾患に罹患する可能性が高くなることがあります。
厚生労働省では、週40時間を超える時間外労働や、月に45時間を超える休日労働で、脳血管疾患や心臓疾患のリスクが高まるとしています。
とりわけ時間外労働が1ヶ月に100時間を超えるとき、また、2~6ヶ月の平均時間外労働が80時間を超えるときは、業務と健康障害の相関が高いと考えられるでしょう。
<参考:厚生労働省「STOP!過労死」>
過労死の危険性があるケース2.精神障害による過労自殺
疲労が取れない状態が続くと、精神的にも健康を保つことが難しくなってしまいます。
ネガティブな思考が常につきまとい、生きている意味がないと感じたり、終わりの見えない労働のルーティーンから抜け出すために自殺を選んだりすることもあるでしょう。
長時間の労働だけでなく「上司のパワハラ」や「同僚によるいじめ」などのストレスが溜まる出来事が重なると、さらに精神的な健康を保つことは困難になります。
自殺を選んだり、うつ病を発症して長期療養が必要になったりすることもあります。
過労死の前兆?主な疾患と症例
どんな病気でも、早期に発見することができれば、早期に治療を開始することができるため治癒しやすくなります。
反対に、病気の前兆に気づかずに放置しておくなら、重症化し、場合によっては手遅れになるかもしれません。
過労死につながる脳血管疾患と心臓疾患、精神障害の重症化を防ぐためにも、それぞれの疾患の前兆と症状を知っておきましょう。
過労死の前兆1.脳血管疾患の症例
脳血管疾患とは、脳内や脳につながる血管にトラブルが起こったために生じる疾患のことです。
なお、脳血管疾患は大きく2つに分けることができます。
脳の血管が破裂して出血することに起因する脳血管疾患を「出血性脳血管疾患」と呼び、くも膜下出血や脳出血などがあります。
一方、脳の血管が詰まって血流が悪くなることに起因する脳血管疾患を「虚血性脳血管疾患」と呼びます。
脳に充分な酸素が供給されなくなるため、体の機能にさまざまな問題が発生します。
たとえば、脳梗塞や一過性脳虚血発作などは、虚血性脳血管疾患に分類されます。
脳血管疾患は前触れなしに起こることが多い疾病です。
以下の事柄に当てはまる方は、脳血管疾患の罹患リスクが高いため、こまめに医療機関で検査を受け、ストレスを溜めないように心がけてください。
<脳血管疾患の罹患リスクが高い方>
- 血圧が高めである
- 高血糖を指摘されたことがある
- 不整脈がある
- 栄養バランスが偏っている
- 喫煙習慣がある
- 飲酒量が多い
- 運動習慣がない
脳血管疾患は死に至らなくても怖い病気
くも膜下出血や脳梗塞などの脳血管疾患は、前触れなしにいきなり起こることがあります。
異常を感じた時点ですぐに病院に行けば、一命を取り留めることができるかもしれません。
しかし、脳血管疾患で死亡に至らなかった場合でも、深刻な後遺症が残ることがあります。
手足のまひや言語障害、感覚障害などが続き、長期間のリハビリが必要になることや寝たきり状態になることも珍しくありません。
過労死の前兆2.心臓疾患の症例
心臓は全身に血を送る大切な臓器です。
不整脈や虚血性心疾患、心不全などの心臓疾患に罹患すると、命の危険も高まる可能性があり、脳血管疾患と同様、注意をしなくてはいけない病気です。
ただし、脳血管疾患とは異なり、深刻な症状になる前に何らかの前触れが起こることが多いため、早期発見・早期治療が可能なケースも少なくありません。
次の症状が見られたときは、すぐに病院に行き、正確な診断を受けて、必要に応じて治療を開始するようにしてください。
<心臓疾患の前触れとして見られる症状>
- 胸痛
- 息切れ
- 動悸
なお、胸の痛みは、人によって感じ方が違います。
「圧迫されているようで苦しい」と感じる方もいれば、胸焼けに似た不快な感覚、鈍痛の場合もあります。
また、冷や汗や呼吸困難などの症状を伴うこともありますので、胸周りの苦しさを感じたときは、自己診断をするのではなく医療機関で相談するようにしましょう。
過労死の前兆3.精神障害の症例
精神的な障害は、心臓疾患と同じく、何らかの前兆があることが多いです。
とりわけ、過労死につながることが多いうつ病も、いきなりうつ病になるのではなく、前触れとなる症状がいくつか見られることが一般的です。
以下のうつ病のサインが2週間以上続いているときは、早めに心療内科などの専門科を受診し、早期に治療を受けられるようにしてください。
<うつ病のサイン>
- 気分が重い
- 何をしても楽しいと思えない
- 何に対しても興味が持てない
- 一日中、眠気を感じる
- 眠いのに、横になると眠れない
- 用事がないのに、早朝早く目覚める
- 自信を持てない、自分に価値がないと感じる
- 死にたいと感じる
ご家族の中に以下のような症状が見られる方がいませんか?
もしかしたら、うつ病になっているのかもしれません。
病気が長引かないためにも、医療機関を受診するように声がけしましょう。
<周囲から分かるうつ病のサイン>
- 表情がいつも暗い
- 声をかけても反応が遅い
- よく忘れる
- 飲酒量が増えている
過労死を防ぐための対策
過労死を防ぐためには、脳血管疾患や心臓疾患、精神疾患に罹患するリスクを減らし、前触れとなる症状が見られたときには、早期に医療機関を受診することが大切です。
また、労働環境や働き方、勤務条件を見直し、必要ならば別企業への転職を検討することも大切です。
自分や家族の生活を守るためにも、サービス残業や過重労働を強いられる会社に居続けないようにしてください。
ひとつの参考になるよう、過労や長時間労働の相談窓口をまとめました。
名称 | 母体 | 電話番号 | 受付 | 備考 |
---|---|---|---|---|
過労死110番全国ネットワーク | 過労死弁護団全国連絡会議 | 03-3813-6999 | [月~金]10:00~12:00 / 13:00~17:00 | – |
労働条件相談ほっとライン | 株式会社東京リーガルマインド
(厚生労働省の委託事業) |
0120-811-610 |
|
– |
労働相談ホットライン | 全国労働組合総連合 | 0120‐378-060 | [月~金]10:00~17:00 | メールでの相談可 |
なんでも労働相談ホットライン | 日本労働組合総連合会 | 0120-154-052 | – | メールやLINEでの相談可 |
働く人の「こころの耳電話相談」 | 一般社団法人日本産業カウンセラー協会
(厚生労働省の委託事業) |
0120-565-455 |
|
メールでの相談可 |
法テラス | 日本司法支援センター法テラス
(法務省所管の独立行政法人) |
0570-078374 |
|
メールでの相談可 |
過労死の原因と対策を知って自分や家族を守る!
過労死にならないためにも、また、家族を過労死の遺族にしないためにも、適正な労働環境に身を置き、普段から禁煙・節酒・適度な運動と睡眠を心がけることも大切です。
自分と家族を守るためにも、一度、過労死の原因と健康について真剣に考えてみましょう。