【ジェンダーハラスメント】どういった言葉・行動がNGなの?
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近年、しばしば話題に取り上げられる「ジェンダーハラスメント」。
何となく「性別関係の嫌がらせ」だということは分かりますが、具体的にはどのような行為を指しているのかご存知ですか?
ジェンダーハラスメントとは何か、セクハラなどと何が違うのか、具体的に何をすればよいのかについてまとめました。
目次
ジェンダーハラスメントとは
さまざまなハラスメント(嫌がらせ行為)が問題になっていますが、ジェンダーハラスメントとはジェンダー(gender【英】性別)に関する嫌がらせ行為です。
- 「男は男らしくあるべきだ」「女は女らしくあるべきだ」という思い込みに基づく発言
- 性別によって役割を決めること
- 特定の性別を軽く見ること
- 反対に、特定の性別を優秀だと思い込むこと
いずれもジェンダーハラスメントにつながります。
ジェンダーハラスメントとセクシャルハラスメントの違い
「性」が関係するハラスメントと言えば、セクシャルハラスメントがよく知られています。
ジェンダーハラスメントは性別に関係する嫌がらせ行為ですが、セクハラは相手に性的な意味で嫌がらせ行為をおこなうことです。
たとえば、課長が「お茶は女性が淹れるように」と命令するなら、女性という性別で役割を押し付けていることになりますので、ジェンダーハラスメントだと考えられます。
しかし、「君はかわいいから、君がお茶を淹れると美味しく感じる」と発言するならセクハラです。
過剰に容姿について言及したり、女性や男性の「性」の部分で「言われた本人や周囲の人が不快になる発言・行動」をしたりすることは、すべてセクハラに該当します。
ジェンダーハラスメントの事例
セクシャルハラスメントとジェンダーハラスメントは異なる概念ですが、重なる部分も少なくありません。
たとえば、職場の女性に「女性なんだからスカートを履いているほうが良い」というならば、「女性はスカートを履くもの」という思い込みに基づいたジェンダーハラスメントです。
しかし、スカートを指定することで「女性がよりかわいく見える」「脚を見たい」などの性的な意味も持つため、セクハラ行為とも言えます。
さまざまな事例の中で、ジェンダーハラスメントに分類されることが明らかな事例をいくつか紹介します。
しかし、中にはセクシャルハラスメントにも分類できるものがありますので、「これはセクシャルハラスメントにも該当するだろうか?」と考えながらご覧ください。
男性が被害を受けた事例
「男性は女性よりも優位に立っていなくてはならない」という思い込みによる発言は、基本的にはすべてジェンダーハラスメントです。
以下のケースのような発言で、男性がジェンダーハラスメントの被害を受けることもあります。
- 体が弱い人に対して「男なんだから丈夫であるべきだ」「男だからもっと鍛えろ」と発言する
- 仕事の能力が低い人や、ペースが遅い人に対して「男なんだから女性よりも仕事ができて当然だ」と発言する
- 家庭内で妻よりも給料が低い場合に、「男なんだから、もっと稼いでよ」と妻に言われる
女性が被害を受けた事例
「女性は男性を支えるべきだ」という思い込みによる発言や、「女性は美しくなくてはいけない」という考え方もジェンダーハラスメントです。
以下の発言・行動によって、女性がジェンダーハラスメントの被害を受けることがあります。
- 女性に対して「女だから優秀でなくても良い」、優秀な女性に対して「男に生まれてきたらよかったのに」と発言する
- 「女性なんだから、家事や育児をしなきゃいけないでしょう?」と、働き方・家事労働・採用と性別を結び付けた発言をする
- 「女の子はかわいいだけで良い」「女性なんだから身だしなみに注意をして」「女性が家事労働をおこなうべきだ」と発言する
LGBTQの人が被害を受けた事例
生まれたときの性別と自分自身が認識する性別が異なる人もいます。
また、同性に対して恋愛感情を持つ人や男性・女性を問わず性的に興味を持つ人もいます。
最近では性的マイノリティの方をLGBTQと呼びますが、ジェンダーハラスメントの被害を受ける人も少なくありません。
以下のような発言で、LGBTQの人がジェンダーハラスメントやいじめの被害を受けることもあります。
- 男性・女性しか性別がないと決めつけて「男か女かどっちか分からない」などと発言する
- 同性に対して恋愛感情を持つことがある人のうわさをして、「狙われたらどうしよう」と発言する
- 性的マイノリティであることに対して、「親御さんは悲しむよ」と断定したり、「好みの人が現れたらどうアプローチするの」と興味本位な発言をおこなったりする
ジェンダーハラスメントの対処法
ジェンダーハラスメントの発言をしている人は、自分自身の発言が相手を傷つけているということに気づいていない可能性があります。
小さなときから「男は男らしく・女は女らしく」と育ってきたことで、性別で役割が決まるものだと思い込んでいる人も少なくありません。
そのため、ジェンダーハラスメントを受けたときは、相手に「ジェンダーハラスメントで周囲を傷つけている」ということに気づかせることが必要です。
たとえば「君は女性なのに優秀だ」と上司が何度も発言するなら、別の優秀な社員を例にとり、「○○君は男性だから優秀なのですか?○○君個人が優秀なのではないですか?」と性別と能力は別物であることを伝えることができるでしょう。
しかし、一般的にハラスメント行為をおこなう人は、上司や先輩などの立場が上の人が多く、率直に伝えることが難しいものです。
職場の別の上司や企業内窓口に、悩みを相談することも検討してみましょう。
また、法務局で人権相談をおこなうことや、労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーへの相談も検討してください。
場合によっては、人権問題・ハラスメント問題に強い法律事務所の弁護士に相談することもできます。
ジェンダーハラスメントの今後の対策
習慣や思い込みにより、ジェンダーハラスメントに該当する発言をしてしまう可能性は誰にでもあります。
自分自身がハラスメント行為に加わらないためにも、次の3つのポイントに注意してください。
- 「男性だから」「女性だから」と、行動や容姿、能力と性別を結び付けていないか
- 男女を入れ替えても不自然とは感じない発言をしているか
- 性別にこだわったり、他人の性別や性的指向といったプライバシーに踏み込んだりしていないか
ジェンダーハラスメントは誰でも被害者と加害者になる可能性がある
ジェンダーハラスメントは、誰もが被害者になる可能性がありますし、加害者になる可能性もあります。
日本社会において習慣となっていた性的役割や不用意な発言で他人を傷つけることがないように、ジェンダーハラスメントに該当する事例を覚え、自分自身の発言を常に見直すようにしてください。