いじめとは?定義・種類・判断基準や対応策を解説
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いじめは、学校だけの問題ではありません。
日本の社会全体の問題となってきています。
また、インターネットが普及することで、いじめの形態も変化してきました。
いじめとは何か、そして、いじめ対策として何ができるのかについてまとめました。
目次
いじめとは
いじめとは、特定の人物に対する嫌がらせ行為や言葉を指すことが多いです。
また、それらの行為や言葉が何度も繰り返されることも、いじめの特徴と言えます。
たとえば、失敗した部下を上司が叱責しても、それはいじめとは言えません。
しかし、何度も執拗に叱責を繰り返したり、失敗していないときに「だからお前はダメなんだ」と発言したり、人前で恥をかかせるように叱責したりするなら、いじめだと判断されることがあるでしょう。
いじめの種類
いじめには、殴る・蹴るといった身体的なものだけでなく、悪口を言ったり無視をしたりなどの精神的なものもあります。
また、その他にも、性的なものや犯罪につながるものなどの多様な嫌がらせ行為・言葉が「いじめ」に含まれます。
近年、とりわけ問題になっているのが、インターネットを通したいじめです。
相手が目の前にいないという状況を悪用して、誹謗中傷行為をおこなったり盗撮した写真を公開したりすることは、すべていじめの一種と言えるでしょう。
また、学校のなかでも、クラス内での連絡用に作ったグループラインに特定の人物だけを入れなかったり、クラスのアカウントとは別に裏アカウントを作成して特定の人物の悪口を言ったりする行為もいじめです。
いじめの判断基準
何をいじめと判断するかは、個人によっても異なりますし、所属する団体によっても異なります。
しかし、特定の団体の中に「いじめを受けている」と感じている人がいるなら確かにいじめは起こっているのですから、いじめの被害者の視点で見ることが大切だと言えます。
いじめは閉ざされた空間で起こることが一般的です。
毎日同じメンバーと顔を合わす学校や職場では、嫌がらせ行為や悪口が繰り返されやすい傾向にあります。
一方、近年、問題となっているインターネット上のいじめは、インターネットという誰に対しても開かれた空間で起こっています。
しかし、インターネットは一見、開かれたコミュニティに思えますが、個人が特定されにくいという閉ざされた部分があるのも事実です。
インターネットによるいじめは、この匿名性の殻に守られた状態を悪用して起こっていると見ることができるでしょう。
文部科学省によるいじめの定義
文部科学省では、2013年にいじめ防止対策推進法を施行した際、いじめを以下のように定義しました。
「いじめ」とは、
「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等
当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う
心理的又は物理的な影響を与える行為
(インターネットを通じて行われるものも含む。)
であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」
とする。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。<出典:文部科学省「いじめの定義の変遷」>
つまり、特定の人物の行為や言葉が別の人物に苦痛を与えるなら、それは「いじめ」だということになります。
いじめ行為を指摘された加害者が「ふざけていただけ」「いやがっているとは気付かなかった」と弁明したとしても、いじめの被害者が苦痛を感じているなら、その行為や言葉は紛れもなく「いじめ」なのです。
いじめは子どもたちの間だけでない
文部科学省は、学校を管轄する省庁のため、いじめの定義も学校に限って定めています。
しかし、現実にはいじめの問題は学校だけで起こっているのではありません。
家庭でも起こり得ますし、会社の中やママ友の間、趣味やボランティアのサークル間、近隣に住んでいる人々など、人が2人以上集まるところならどこにでも起こり得るのです。
また、いじめは、子どもたちだけの問題ではありません。
特定の人物に嫌がらせをおこなうといった幼稚な言動は、大人の社会でも決して珍しいことではないのです。
学校教育でのいじめ
学校教育のなかで、いじめは頻繁に見られます。
まず、生徒間のいじめとして、クラスの特定の人物を無視したり避けたりする行為を挙げられます。
「パンを買ってきて」と一方的に命令する行為や大勢の前で恥をかかせる行為、孤立するように仕向ける行為など、さまざまな形態のいじめが存在します。
生徒間のいじめは、クラス内だけで起こるのではありません。
部活動やサークル活動のなかでも起こりますが、先輩・後輩といった年齢的な上下関係から生まれるケースだけでなく、同級生同士であっても特定の生徒をターゲットにした壮絶ないじめが起こり、不登校などにつながることもあります。
生徒間以外でもいじめが起こることがある
さらに、教師と生徒の間でいじめが起こることもあります。
教師が特定の生徒を排除しようとする言動をおこなったり、教師が直接・間接的に生徒を扇動して特定の生徒を孤立させようとしたりすることもあるでしょう。
反対に生徒が集団で教師に嫌がらせ行為をすることも、一種のいじめです。
授業を妨害したり、嘘の情報を保護者に吹き込んだりすることも、子どもによるいじめと言えます。
そのほかにも、教師間のいじめも問題になっています。
特定の教師をターゲットとして、授業を妨害したり嫌がらせ行為をおこなったりすることは、単に「いじめ」ではなく、傷害罪や名誉棄損罪、脅迫罪などの「犯罪行為」に相当するケースもあります。
職場でのいじめ
職場もいじめが起こりやすい場所です。
特定の社員に仕事を過剰に押し付けたり、無理な要求を命令したりすることは、上司と部下といった上下関係を悪用したパワーハラスメントです。
また、反対に、仕事をさせなかったり、能力に見合わない低いレベルの仕事ばかりさせることもパワハラ行為とみなされます。
宴席などで不必要に体を触ったりお酌をするように強要したりすることは、セクハラ行為に該当するいじめです。
職場では年齢や入社年数、役職などで上下関係があるため、業務を遂行するために必要な命令と個人的な命令・嫌がらせ行為が混同されやすくなる傾向にあります。
ネット上のいじめ
特定の人物に対する中傷は、ネットを悪用したいじめです。
インターネットでは相手と面と向かっているわけではないため、意見を言うことと一方的に攻撃することの区別がつかなくなっている人も少なくありません。
また、自分の個人情報は特定されないだろうと高を括り、日常生活では口にしたこともないような暴言を繰り返す人も大勢います。
ネットであっても節度を守るということを、個人個人が意識する必要があると言えるでしょう。
いじめの対応策
学校や職場では、さまざまないじめ対策をおこなっています。
取り組んでいる対処法の細部は異なりますが、「いじめを受けていると感じた人が言いやすい場を作る」という点は共通して見られます。
たとえば、定期的に生徒や社員にアンケートを実施し、人間関係などにトラブルが起こっていないか尋ねる学校・企業は少なくありません。
また、誰でも利用できる相談室を設けることで、問題が小さなうちに解決しようと努める学校・企業も増えてきました。
いじめがない社会をつくるには
人間が存在する限り、人間関係のトラブルがなくなることはありません。
しかし、トラブルを相談しやすい環境をつくることはできますし、トラブル解決に向かって努力することもできます。
誰もが生きやすい世の中を作るために、相手の立場で考える習慣を身につけていきましょう。