不登校は高校受験で不利?欠席日数や内申点、進路についてを解説
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文部科学省の報告によりますと、不登校の小中学生は全国に16万人超もいます。
実に、小学生の144人に1人、中学生の27人に1人は不登校です。
決して不登校は珍しいことではありませんが、高校受験で不利になるのは困ります。
この記事では不登校の生徒の欠席日数や内申点、進路について解説します。
目次
不登校経験者が高校受験をする際の2つのポイント
身体的あるいは経済的理由以外で、1年に30日以上学校に行かない・行けない生徒を「不登校」と呼びます。
中学生に多く、中学校の各クラスに1人か2人は不登校の生徒がいる計算になります。
学校に行けない日が長くなると、高校進学に影響が出ないか気になるのではないでしょうか。
高校受験の際に欠席日数や内申点はどのように扱われるのか見ていきましょう。
<参考:文部科学省「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」>
ポイント1.欠席日数について
高校受験において、中学から提出される「調査書」が審査の対象になることがあります。
とりわけ公立高校では、調査書に記されている欠席日数が多いと、受験時に良い点数を獲得しても合格通知をもらえないことがあるのです。
基準は学校ごとに異なるので、中学校の教師に相談してみることが一番です。
学校によっては、欠席日数をまったく考慮しないこともあれば、3年間で30日以上の欠席日数があれば進学が難しくなることもあります。
また、どの学年の欠席日数を見るかというのも、学校ごとに異なります。
中学3年のときの欠席日数だけ評価対象になる高校もあれば、1年から3年までのすべての欠席日数が対象になる高校もあります。
なお、近年では、欠席日数が多い理由を「自己申告書」に記載して高校側に提出すると、ある程度柔軟に対応してくれる学校も少なくありません。
一方、私立高校は欠席日数をあまり重視しない傾向にあります。
調査書に記載されている部活動や生活態度などに関しても、公立高校ほどには評価の対象にならないことが多いです。
ポイント2.内申点について
学校の成績を、特定のルールに従って点数化したものを「内申点」と言います。
内申点も中学校から受験する高校に提出されますが、どの程度重視するか、また、何年生のものをチェックするかは高校によって異なります。
内申点と入学試験を同割合で評価する学校もあれば、内申点が7、入学試験を3の割合で評価したり、反対に内申点を3、入学試験を7の割合で評価したりする高校もあります。
普段の成績よりも本番にかけたいならば、内申点の評価割合が低い高校を受験するようにしましょう。
ところで、欠席日数と同様、内申点も、私立高校では公立高校よりも重視されません。
ただし、推薦入試で私立高校に進学する場合は、内申点の下限が決められていることが一般的なので、かならず担任の先生に確認して対策を練りましょう。
不登校生だからこそ受験する高校を選ぼう!種類と特徴をチェック
不登校が続くと、欠席日数が増え、内申点が低くなることもあります。
受験する高校を選ぶときは、欠席日数や内申点をあまり重視しないこと、また、欠席日数について自己申告書を提出できることをチェックするほうが良いでしょう。
また、進学する高校の種類を吟味することも大切です。
学校種別ごとの特徴を見ていきましょう。
<学校種類別生徒数>
全日制高校 | 定時制高校 | 通信制高校 |
---|---|---|
3,243,422人 | 112,187人 | 189,418人 |
※平成24年度の学校基本調査による
<参考:文部科学省「定時制課程・通信制課程高等学校の現状」>
全日制高校
全日制高校とは、朝に登校し夕方帰宅するスタイルの高校です。
一般的に「高校」というときは、全日制高校を指します。
全日制高校の中には、不登校の生徒やかつて不登校だった生徒を積極的にサポートする高校があります。
たとえば、小学校や中学校で十分な学力を習得できなかった生徒が通う高校として、「エンカレッジスクール」が挙げられるでしょう。
東京都内には、足立東高校や秋留台高校など都立のエンカレッジスクールがいくつかあり、30分授業や習熟度別授業、二人担任制などの独自の方法で学習に困難を覚える生徒をサポートしています。
また、私立でも中学校の復習や習熟度別授業、カウンセリング資格を持つ教員の配置などのサポート体制を実施している高校があります。
地域によって選択肢が少ないこともありますが、まずは中学校の担任に相談し、自分に合った学校を探してみましょう。
定時制高校
定時制高校とは、通常、夕方に登校して夜帰宅するタイプの高校です。
近年、夜間以外にも、午前や午後などに通学できる定時制高校も増えてきました。
一般的には公立高校内に設けられており、四年制あるいは三年制の「学年制」と単位数で卒業できる「単位制」があります。
多くの定時制高校では、中学生のときに不登校だった生徒へのサポート体制があります。
たとえば、入学後は学力検査がない学校や、入試時に調査書を見ない学校、入学希望者の意欲を重視する学校なども少なくありません。
通信制高校
通信制高校では、定期的に通学しなくても、レポートや単位認定試験などで高校卒業資格を得られます。
年間20日ほどは登校する必要がありますが、生徒一人一人のペースに合わせて学習を進められる自由度の高さが魅力です。
ただし、レポートや単位認定試験を合格しないと卒業できないため、学習意欲が低い生徒には適切とは言えません。
一方、学習意欲はあるけれども、生徒や先生との関わりが苦手な方には、良い選択肢となるでしょう。
高校に行かなくても大学進学は可能
大学に進学するためには、「高校卒業程度の学力」と「大学入学試験に合格すること」が必要です。
しかし、かならずしも全日制高校・定時制高校・通信制高校のいずれかを卒業している必要はありません。
高校に行っていない子どもや卒業前に退学した子どもは、「高等学校卒業認定試験」を受験し合格することで、大学受験の資格を取得することが可能です。
不登校生の高校受験!進路を考える前に知っておくべきポイント
小中学校で不登校であっても、高校に進学し、大学などのさらなる教育を受けることは可能です。
しかし、ただ高校に進学すれば良いというわけではありません。
進路を決定する前に、一度、進学の目的と生き方を見つめ直してみましょう。
高校受験は何のため?目的意識を考えよう
不登校であった期間が長いと、学習の遅れも生じます。
高校の学習内容は、小中学校で学んだことがベースになっているため、高校では「小中学校の遅れを取り戻すための勉強」と「高校の勉強」の両方をおこなうことになります。
学習意欲は十分にあるのか、進学の目的は何なのかについて考えてみましょう。
生き方に「正解」は無く「良いか悪いか」なんて自分次第
一度もレールを外れずに小中高大と進学することだけが正しい道ではありません。
今、納得できる生き方をしているのか、常に自問自答するようにしてください。
不登校生でも高校受験できる!視野を広くすれば選択肢はある
不登校であっても、その後の進路が断たれるわけではありません。
悩みや不安について保護者や先生とよく話し合い、適切な高校の種類を選ぶようにしてください。