不登校の原因と対応方法のまとめ
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文部科学省の平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査では、不登校(年度間に連続あるいは不定期に30日以上欠席)の小中学生は、14万人以上いると報告されています。
なぜこんなにも多くの子どもたちが学校に行かなくなっているのでしょうか。
不登校の原因と対処策についてまとめました。
目次
不登校の原因は人それぞれ
学校に行かなくなる原因は、生徒によって異なります。
文部科学省の調査では、「病気や経済的事情で学校に行かなくなるケース」と「不登校」を分けています。
不登校に分類された子どもたちは、病気・経済的理由以外の事情があり、「学校に行かない」という選択をしていると考えられます。
平成29年にまとめられた調査では、不登校の生徒は小学生よりも中学生が多いという結果が出ています。
小学生では全体の約0.5%の児童が不登校になっていますが、中学生では約3.2%と6倍もの生徒が学校に行けなくなっています。
在籍生徒数 | 不登校と判断される生徒数 | |
---|---|---|
小学校 | 6,463,416人 | 35,032人 |
中学校 | 3,357,435人 | 108,999人 |
※小学校、中学校いずれも、調査時点で国立・公立・私立学校に在籍している生徒すべてを含みます
不登校の7つの原因
文部科学省が公開した調査結果によりますと、不登校の小中学生のうち、約3分の1が「不安」を原因に学校へ行けなくなっています。
また、「無気力」が原因で、不登校になっている生徒も約3分の1います。
そのほかにも、
- 学校における人間関係
- 非行
- 家庭の問題
などがあります。
学校における人間関係と言っても、いじめが原因であったり、いじめ以外の友人関係が原因であったりと、不登校の原因はさまざまです。
主な7つの原因について見ていきましょう。
不登校の原因1.母子分離不安
小学校の低学年によくある不登校の原因が、「母子分離不安」です。
親と離れて過ごすことに不安を感じ、学校に行きたくないと考えます。
とりわけ、親の仕事が忙しく、家で親と接する時間が少ない子どもたちは、母子分離不安を感じる傾向にあると言えるでしょう。
また、小学校低学年以外でも、死別や離婚などの事情で親と過ごす時間が減った場合には、母子分離不安が原因で不登校になることがあります。
そのほかにも、専業主婦だった母親が家の外で仕事をするようになったり、夫婦仲が悪くなって、親と仲良く過ごす時間が減ったりしたときも、子どもは母子分離不安を感じて学校から足が遠のくことがあります。
不登校の原因2.息切れ
学校を含めた日常生活が忙しすぎて、不登校になる子どもたちもいます。
息切れして不登校になる子どもは、何事にもまじめで率先しておこなうリーダータイプが多いという特徴があります。
ほかの子どもたちよりも多くの仕事量を引き受け、しかもすべての作業を完璧におこなわなければいけないと感じて、疲れ切ってしまうのです。
課外活動に熱心に取り組む子どもたちや、厳しい受験戦争を潜り抜けた子どもたちも、息切れして不登校になる恐れがあります。
生活の大半を課外活動や勉強に占められ、家には寝に帰るだけという生活が続くと、子どもにとって(場合によっては「親にとって」)「優先度が低い学校生活を切り捨てよう」と考えるようになります。
不登校の原因3.学校生活のトラブル
学校生活でのトラブルがきっかけで、不登校になる子どもたちも少なくありません。
いじめによって学校生活がつらくなったり、いじめではないもののクラスメイトや部活の仲間、先輩などとの関係が悪化したりすることで、学校に行けなくなることがあります。
子どもたちの中には、学校の教師との関係に悩んで不登校になる子どももいます。
先生から不公平な扱いを受けたり、部活動などで過剰なしごきを受けたりすることも、子どもにとってはつらい経験です。
不登校の原因4.発達や学力の遅れ
ほかの子どもたちができて自分にはできないことがあることも、子どもによっては不登校の原因になります。
とりわけ小学校低学年では、食事や着替えに時間がかかりすぎてしまったり、体が小さいことや運動能力が低いことをからかわれたりすることで、学校から足が遠のくケースも少なくないのです。
中学生や高校生になると、学力の遅れから学校に行きたくないと感じる子どもたちが増えます。
授業についていけないことや課題の多さに気持ちが滅入り、不登校につながることがあります。
不登校の原因5.無気力
学校に行くという意欲がなくなってしまうこともあります。
朝起きても学校に行く準備をすることに意味を見いだせず、一日中ぼんやりと過ごしていたいと考える子どもたちも少なくありません。
とりわけ学校生活に意味を見いだせないときには、無気力になりがちです。
心から打ち解けられる友人がいなかったり、部活動やクラス内の活動に楽しさや意義を見つけられなかったりするときは、「学校になんて行かなくても」と考えてしまうことがあります。
不登校の原因6.甘え
幼少時から「頑張らなくてもいいよ」という風に甘やかされていた子どもは、学校生活で少し辛いことがあると、学校生活そのものを回避する傾向にあります。
また、学校でのトラブルについて耳にした親が、「無理に学校に行かなくてもよい」と子どもを甘やかせることもあります。
もちろん、子どもが本当に辛い思いをしているときは「学校に行かなくてもよい」という親の言葉は子どものためになるでしょう。
しかし、本来なら子どもが乗り越えられる困難で「学校に行かなくてもよい」と親がアドバイスしてしまうと、子どもの精神面を鍛える機会を逸することにもなってしまいます。
不登校の原因7.家庭環境
夜遅くまで起きている家庭では、学校に行く時間に朝食を食べることが難しく、徐々に子どもが学校に行かないようになることがあります。
また、親子関係のこじれから子どもが家庭で精神的な安定を得られないときも、不登校になることがあります。
親が何度も仕事や居住地を変える場合も、子どもは不安を感じて不登校につながることがあります。
転校によって、安定した友人関係を築きにくい状況の子どもも、不登校に発展することがあるでしょう。
不登校の対応方法
「学校に行かない」という選択をすることは、子どもにとってもストレスです。
自然に学校から足が遠のいたように見える子どもであっても、不登校に至るまではさまざまな思いを抱き、葛藤しています。
子どもが不登校になったとき、また、欠席や遅刻、早退を繰り返すようになったとき、親や周囲はどのように対応することができるでしょうか。
原因や年齢によって、適切な対応が必要
学校に行かない子どもに「早く学校に行きなさい」ということが、かならずしもよい結果を生むとは限りません。
子どもが不登校になった原因に思いを巡らし、年齢に合った対応をすることが必要です。
学校生活が始まることで、親は子どもの生活すべてを把握することが難しくなります。
学校の教師や塾の講師、信頼できる保護者と連絡を取り、子どもの悩みを解明し、原因と年齢に合わせて対応していくようにしましょう。
不登校になったことを一人で抱え込まない
子どもが不登校になることは、親にとっては大きな出来事です。
しかし、不登校の原因はかならずしも1つではなく、複雑に絡み合っています。
また、最初の対応を誤ってしまうと、不登校が長引くこともあります。
一人で不登校の問題を抱え込まず、信頼できる友人や担任、保護者仲間に相談し、解決を目指すようにしましょう。