夫婦の年金の平均受給額は?現在の金額とパターン別目安表

「年金だけでは生活できないから、夫婦で2,000万円は老後資金として貯蓄すべき」という金融庁の報告書が話題になっていますが、本当に年金だけで生活していくのは難しいのでしょうか。

実際のところ、夫婦の年金の平均受給額はいくらになるのか、見ていきましょう。

夫婦の年金の平均受給額はいくら?【2019年版】

通帳を見る老夫婦

金融庁の報告書によりますと、夫婦ともに年金受給者の世帯の平均収入は209,198円です。

一方、平均支出は263,718円と、収入よりも5万円ほど多くなっています。

つまり、夫婦ともに年金受給者の世帯では月に5万円ほど生活費が不足することになります。

年金だけで生活するようになってからの年数が20~30年あるとすると、約1,300~2,000万円が不足するため、老後になるまでに2,000万円は用意しておくほうが良いと言われています。

<夫婦ともに年金受給者の平均世帯収支(月額)>

平均収入 平均支出 貯蓄等による補填額
209,193円
(内、年金収入は191,880円)
263,718円 54,525円

<参考:厚生労働省「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」>

夫婦の年金は就業パターン別で受給額が異なる

夫婦ともに年金受給者の場合でも、世帯によって年金収入額は異なります。

加入していた年金の種類や納付額、加入年数などのさまざまな要素により、年金による収入が大きく変動します。

例えば、平成29年度の厚生年金受給額(月額)の平均は14.7万円ですが、男性だけで見れば月17.5万円、女性は月10.9万円です。

厚生年金は収入によっても受給額が大きく変わりますので、平均月収の少ない女性は厚生年金受給額も減るのです。

また、育児や出産等で働いていない期間があるときや、パートやアルバイトといった非正規雇用の場合も、社会保険料が減る分、将来的に受け取る厚生年金受給額が減ります。

夫婦をいくつかの就業パターンに分けて、年金受給額をシミュレーションしてみましょう。

夫婦の年金の平均受給額を調べよう!パターン別の目安表

硬貨の上に立つ老夫婦人形

では、以下の5つの就業パターンに分けて、夫婦の年金受給額を見ていきましょう。

就業パターン
1.夫:会社員 妻:専業主婦(結婚前に10年間、会社員として勤務)
2.夫:会社員 妻:会社員
3.夫:公務員 妻:公務員
4.夫:自営業 妻:会社員
5.夫:自営業 妻:専業主婦(結婚前に10年間、会社員として勤務)

なお、収入は世帯ごとに変わっても、支出には大きな影響を及ぼさないと考えられます。

夫婦ともに年金受給者の世帯の平均支出(約26万円)と比べて不足する金額を求め、以下の式をもとに老後資金を準備していきましょう。

老後資金として準備する金額の目安
(26万円-夫婦の年金収入月額)×12ヶ月×30年

パターン1.【会社員と専業主婦(会社員10年)】の場合

夫婦ともに同年齢で22歳のときに就職、大学生のときに2年間国民年金を収めたとします。

年金保険料を40年間納めて満65歳から年金を受け取る場合、以下の条件でシミュレーションしてみました。

<夫の条件>

  • 標準報酬月額は従業員数1,000人以上の企業における男性全業種平均値の42.71万円
  • 年間賞与は3ヶ月分
  • 60歳の退職時まで38年間厚生年金に加入

<妻の条件>

  • 22歳から32歳の10年間、従業員数1,000人以上の企業に就職
  • 女性全業種平均値の30.27万円の標準報酬月額を得ていた
  • 年間賞与は3ヶ月分
  • 結婚後は国民年金保険第3号被保険者

<夫婦ともに満65歳から年金受給を開始した場合>

老齢基礎年金 老齢厚生年金 年金受給額
78.01万円 141.68万円 219.69万円
78.01万円 27.20万円 105.21万円
夫婦合計 156.02万円 168.88万円 324.90万円
(月27.08万円)

※いずれも年額で表記しています。

満60歳から年金を繰り上げ受給すると、老齢基礎年金は最大30%減額されます。

一方、満70歳から年金を繰り下げ受給した場合は、老齢基礎年金は最大42%増額されます。

受給時期を変更することで、以下のように受給額が変わります。

<年金を繰り上げ受給した場合と繰り下げ受給した場合>

夫婦ともに満60歳から受給 夫婦ともに満70歳から受給
夫婦の年金受給額(月額) 278.09万円(23.17万円) 390.43万円(32.54万円)

パターン2.夫婦共働きの【会社員と会社員】の場合

夫婦ともに同年齢で22歳のときに就職、大学生のときに2年間国民年金を収めたとします。

満65歳から年金を受け取るとして、以下の条件でシミュレーションしてみました。

<夫の条件>

  • 標準報酬月額は従業員数1,000人以上の企業における男性全業種平均値の42.71万円
  • 年間賞与は3ヶ月分
  • 60歳の退職時まで38年間厚生年金に加入

<妻の条件>

  • 標準報酬月額は従業員数1,000人以上の企業における女性全業種平均値の30.27万円
  • 年間賞与は3ヶ月分
  • 60歳の退職時まで38年間厚生年金に加入

<夫婦ともに満65歳から年金受給を開始した場合>

老齢基礎年金 老齢厚生年金 年金受給額
78.01万円 141.68万円 219.69万円
78.01万円 100.42万円 178.43万円
夫婦合計 156.02万円 242.10万円 398.12万円
(月33.18万円)

※いずれも年額で表記しています。

受給時期を変更することで、以下のように受給額が変わります。

<年金を繰り上げ受給した場合と繰り下げ受給した場合>

夫婦ともに満60歳から受給 夫婦ともに満70歳から受給
夫婦の年金受給額(月額) 351.31万円(29.28万円) 463.65万円(38.64万円)

パターン3.夫婦ともに【公務員と公務員】の場合

夫婦ともに同年齢で22歳のときに公務員として就職、大学生のときに2年間国民年金を収めたとします。

満60歳で退職、満65歳から年金を受け取るとして、夫婦ともに平均年収が500万円の場合でシミュレーションしてみました。

<夫婦ともに満65歳から年金受給を開始した場合>

老齢基礎年金 老齢厚生年金 年金受給額
78.01万円 113.27万円 191.28万円
78.01万円 113.27万円 191.28万円
夫婦合計 156.02万円 226.54万円 382.56万円
(月31.88万円)

※いずれも年額で表記しています。

受給時期を変更することで、以下のように受給額が変わります。

<年金を繰り上げ受給した場合と繰り下げ受給した場合>

夫婦ともに満60歳から受給 夫婦ともに満70歳から受給
夫婦の年金受給額(月額) 335.75万円(27.98万円) 448.09万円(37.34万円)

パターン4.【自営業と会社員】の場合

夫婦ともに同年齢で22歳のときに就職、大学生のときに2年間国民年金を収めたとします。

満65歳から年金を受け取るとして、以下の条件でシミュレーションしてみました。

<夫の条件>

  • 自営業
  • 厚生年金加入期間は0ヶ月。国民年金は40年0ヶ月加入

<妻の条件>

  • 標準報酬月額は従業員数1,000人以上の企業における女性全業種平均値の30.27万円
  • 年間賞与は3ヶ月分
  • 60歳の退職時まで38年間厚生年金に加入

<夫婦ともに満65歳から年金受給を開始した場合>

老齢基礎年金 老齢厚生年金 年金受給額
78.01万円 0万円 78.01万円
78.01万円 100.42万円 178.43万円
夫婦合計 156.02万円 100.42万円 256.44万円
(月21.37万円)

※いずれも年額で表記しています。

受給時期を変更することで、以下のように受給額が変わります。

<年金を繰り上げ受給した場合と繰り下げ受給した場合>

夫婦ともに満60歳から受給 夫婦ともに満70歳から受給
夫婦の年金受給額(月額) 209.63万円(17.47万円) 321.97万円(26.83万円)

パターン5.【自営業と専業主婦(会社員10年)】の場合

夫婦ともに同年齢で22歳のときに就職、大学生のときに2年間国民年金を収めたとします。満65歳から年金を受け取るとして、以下の条件でシミュレーションしてみました。

<夫の条件>

  • 自営業
  • 厚生年金加入期間は0ヶ月。国民年金は40年0ヶ月加入

<妻の条件>

  • 22歳から32歳の10年間、従業員数1,000人以上の企業に就職
  • 女性全業種平均値の30.27万円の標準報酬月額を得ていた
  • 年間賞与は3ヶ月分
  • 結婚後は国民年金保険第3号被保険者

<夫婦ともに満65歳から年金受給を開始した場合>

老齢基礎年金 老齢厚生年金 年金受給額
78.01万円 0万円 78.01万円
78.01万円 27.20万円 105.21万円
夫婦合計 156.02万円 27.20万円 183.22万円
(月15.27万円)

※いずれも年額で表記しています。

受給時期を変更することで、以下のように受給額が変わります。

<年金を繰り上げ受給した場合と繰り下げ受給した場合>

夫婦ともに満60歳から受給 夫婦ともに満70歳から受給
夫婦の年金受給額(月額) 136.41万円(11.37万円) 248.75万円(20.73万円)

夫婦の平均年金と老後に必要な金額・不足額

タブレットで資産管理をしている若夫婦

パターンによって年金受給額は異なりますが、厚生年金に加入していない場合や厚生年金に加入していた期間が短い場合は、老後資金を用意しておく必要があります。

特に、自営業などで国民年金しか納めてこなかった世帯は、月に10万円程度の不足が出ると計算されます。

iDeCoや国民年金の任意加入制度、資産運用、国民年金基金(全額所得控除の対象)も活用し、老後資金を蓄えておきましょう。

また、年金受給年齢を繰り下げることで老齢基礎年金受給額を最大42%増やせますので、ぜひ繰り下げ受給を検討してください。

一方、夫婦ともに厚生年金に加入してきた場合や夫が厚生年金に加入していた場合は、特に老後資金を用意せずとも問題はありません。

ただし、住宅ローンの支払いが満65歳以降も残っているときや支出が平均以上に多い場合は老後資金が不足することもありますので、前もって用意しておきましょう。

夫婦の年金の平均受給額は目安を知って老後に備えよう

現在は年金の支給開始年齢が満65歳ですが、将来的には満68歳以上に繰り上げられると予想されます。

また、退職から年金受給開始時までの生活費も気になります。紹介したシミュレーションを参考に、老後のお金を準備しておきましょう。