インターネット選挙運動でやっていいこと、ダメなこと
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選挙運動にインターネットを用いることは可能です。
しかし、インターネットを用いたすべての活動が認められているわけではありません。
インターネットによる選挙運動はどこまで可能なのかについてまとめました。
目次
インターネット選挙運動とは
インターネットを使った宣伝活動が増えています。
メーカーもテレビや雑誌といった従来の媒体による公告だけでなく、ネット広告にも力を入れるようになってきました。
選挙運動についても同様です。
政党や候補者は公式サイトを作成し、インターネットを使ってウェブサイト上でマニフェストを紹介したり今までの成果について解説したりしています。
法律改正にともない、インターネットを利用した選挙活動が解禁されたためです。
ネット選挙運動は、電子投票とは別
ネット選挙運動とは、インターネットを使った選挙運動のことを指しています。
選挙運動とは特定の候補者や政党を応援する活動のことで、満18歳以上の日本国民がおこなうことができます。
一方、電子投票とはタッチパネル式で投票するシステムを指します。
有権者は投票場に行き、タッチパネル式の画面で投票したい候補者名をタッチします。
投票の手間を省き、また開票作業を簡略化するために、地方選挙において2002年から利用できるようになりました。
18歳未満の選挙年齢外の人はネット選挙運動ができない
インターネットを使った選挙運動をできるのは、18歳以上の有権者だけです。
18歳未満の人は、自分のブログやホームページ、ツイッター、フェイスブックなどに特定の候補者を応援するコメントを表記することはできません。
また、18歳未満の人が、動画を使った選挙活動をすることも禁じられています。
YouTubeなどの動画サイトに特定の候補者や政党を応援するコメントを記載することは禁じられています。
選挙運動が可能な時期はネットとネット以外は同じ
選挙活動を実施できる時期は、インターネットでもその他でも同じです。
どこで選挙運動を展開するかに関わらず、公示日・告示日から投票日の前日までしか活動できません。
仮に、投票日当日に選挙に関するメッセージをブログやSNSなどで流していることが選挙終了後に分かったときは、公職選挙法違反として刑罰の対象になります。
有権者ができるネット選挙運動
有権者ができるネット選挙運動としては、文章や画像を使った活動が挙げられます。
有権者自身のホームページやブログ、所属グループの公式サイトで、特定の政党や候補者を応援する文章を公開したり、選挙活動の様子を画像で紹介したりすることができます。
また、ツイッターやフェイスブックといったSNSで、特定の政党や候補者を支持する内容を公開する方法もあります。
その他にも、動画共有サービスや動画中継サイトで候補者のメッセージを流したり、候補者の普段の活動や街頭演説の様子を流したりすることもできます。
ネット選挙運動の注意点:有権者編
有権者がネット選挙運動をするときは、次の6点を守らなくてはなりません。
<ネット選挙運動において有権者が注意すべきこと>
- 18歳未満はネット選挙運動ができない
- 連絡先のメールアドレスやユーザー名を掲載する
- 電子メールでの選挙運動は不可
- 選挙期間外の選挙運動は不可
- 他の候補者や政党の誹謗中傷をしてはならない
- 他の候補者や政党の情報を改ざんしてはならない
電子メールによる選挙運動に注意
ブログやホームページで選挙運動をするときは、かならず文筆責任者か読者の応対を担当する人のメールアドレスやツイッターのユーザー名を掲載します。
また、電子メールによる選挙活動には特に注意すべきです。
知り合いやその他のメールアドレスに、特定の政党や候補者を応援する内容のメールを送ることは禁じられています。
また、携帯の電話番号を使って送るショートメールでも、選挙活動をおこなってはいけません。
候補者や政党から電子メールが送られてきた場合も、そのメールを転送することは違法行為です。
電子メールをプリントアウトして配る行為も禁じられています。
有権者はメールやショートメールを使った選挙活動は、一切おこなわないようにしましょう。
候補者ができるネット選挙運動
候補者も、有権者と同様、公式サイトやホームページ、ブログを使った選挙運動をおこなうことができます。
もちろん、ツイッターやフェイスブックといったSNSを使った選挙活動も認められています。
また、有権者には認められていない電子メールを使った選挙活動も、候補者は実施することができます。
ただし、送信元が分かるように返信用のメールアドレスをかならず記載します。
ネット選挙運動の注意点:候補者編
候補者がネット選挙運動をするときに守るべき点は、基本的には有権者が守るべき点と同じです。
以下の5点に注意して、選挙運動を進めていきます。
- 連絡先のメールアドレスやユーザー名を掲載する
- 電子メールでの選挙運動は送信履歴を保存する
- 選挙期間外の選挙運動は不可
- 他の候補者や政党の誹謗中傷をしてはならない
- 他の候補者や政党の情報を改ざんしてはならない
電子メールやホームページの保存について
選挙運動できるのは、公示・告示日から投票日の前日までですので、電子メールを送信できるのも投票日の前日までです。
また、電子メールを使って選挙運動するときは送信履歴を一定期間保存しなくてはいけません。
公式サイトやブログなどによる選挙運動が認められているのも投票日の前日までですので、選挙に関わる文書や動画に選挙日当日以降は手を加えてはいけません。
最終更新日が投票日の前日までになるようにして、電子メールと同じく一定期間保存します。
日本における電子投票について
2002年6月23日、岡山県新見市長・市議選において全国初の電子投票が行われました。
その後、地方選挙において何度か電子投票が行われてはいますが、設備投資がかかることもあり、爆発的に普及するということにはなりませんでした。
また、試験的に電子投票を導入したものの、実際の選挙に活用されるということがないまま終わった市区町村も少なくありません。
岡山県新見市では2016年に電子投票をやめ、2004年に導入した青森県六戸町も2018年に電子投票をやめ、電子投票を導入している自治体は事実上日本からなくなりました。
決まりを守ってネット選挙運動に関わろう
手軽に思いを多くの人に伝えられるインターネットを使うと、候補者だけでなく有権者も気軽に選挙運動に関わることができます。
しかし、特に電子メールに対する規制は多く、メールの転送やプリントアウトした書類の配布等は禁じられています。
決まりを守って慎重に選挙運動をするようにしてください。