衆議院と参議院の違いとは?人数・任期・役割などを詳しく解説
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「日本の国会議員は、衆議院と参議院のどちらかに入ることになるって聞くけど、どんな違いがあるんだろう…?」
そう思ったことありませんか?
私も、テレビやネットニュースなどで『衆議院』『参議院』の言葉を見たり聞いたりすることはあっても、詳しい点は知らずにいました。
そこで今回の記事では、衆議院と参議院の違いをまとめました!
さらに、両院の役割についても解説しています!
目次
衆議院と参議院の違いを解説
衆議院と参議院を比べると、定数や任期、選挙で立候補できる年齢など多くの違いがあります。
また、「解散があるかどうか」や「内閣不信任決議ができるかどうか」といった面でも違いがあります。
違いをわかりやすく理解するために、衆議院と参議院の主な違いを表にまとめてみました!
衆議院 | 参議院 | |
---|---|---|
定数 | 465人 | 248人 |
任期 | 4年 | 6年 |
被選挙権の年齢 | 25歳 | 30歳 |
解散の有無 | あり | なし |
内閣不信任決議 | あり | なし |
衆議院と参議院の違い1:定数
衆議院には「解散」があります。
衆議院の解散が決まると、衆議院の議員を改めて選挙で決めるため、465人の衆議院議員すべてが免職となります。
465人のうちの289人は、小選挙区制(各選挙区の中で最大票数を獲得した1人を選ぶ選挙制度)から選ばれます。
残りの176人は、比例代表制(各政党が獲得した票数の比率によって議員数が決定する選挙制度)で選ばれます。
一方、参議院には「解散」がありません!
つまり、衆議院と違い一度にすべての議員が免職になることはありません。
参議院の議員は、3年ごとに半数(124人)ずつ任期を終えます。
124人のうち74人は、全国を45の選挙区に分けた選挙区制で選ばれます。
選挙区制は、得票数の多い人が議員に当選する最も一般的な選挙制度です。
なお、選挙区によって当選する議員数は違い、各選挙区で1~6人の定数が決まっています。
残りの50人は比例代表制で選出されます。
参議院議員を選出する際の比例代表制は、全国を1つの選挙区としてみなして政党の支持率に対して議員の定数を割り振ります。
ちなみに、衆議院議員選挙でも比例代表制は行われています。
衆議院の比例代表制では、全国を11の地域ブロックに分けてブロックごとに政党の支持率を算出し議員数を割り振ります。
【ポイント1】
- 衆議院の定数は465人
- 参議院の定数は248人
- 衆議院には「解散制度」があり、全議員が一度に免職することがある
- 参議院には解散がなく、3年周期で議員の半数が選挙を行う
衆議院と参議院の違い2:任期
参議院議員の任期は6年です。
特別な事情がない限り、参議院議員就任後は、6年の任期を全うします。
一方、衆議院議員の任期は4年ですが、解散制度があるため、必ずしも任期を全うできるとは限りません。
また、内閣不信任決議が可決されたとき、内閣は「内閣の総辞職をするか」「衆議院の解散をするか」を選択します。
解散後は40日以内に衆議院選挙が実施され、選挙後30日以内に特別国会の召集と内閣総辞職が実施されます。
【ポイント2】
- 参議院の任期は6年
- 衆議院の任期は4年だが、解散がある
衆議院と参議院の違い3:年齢(被選挙権)
選挙で投票する権利を持つのは、満18歳以上の日本国民ですが、衆議院に立候補するためには、満25歳の日本国民である必要があります。
一方、参議院に立候補するためには、満30歳の日本国民でなくてはいけません。
なので、満18歳以上24歳以下の人は、「国会議員にはなれないけど、国会議員を選ぶことができる」年齢といえます。
【ポイント3】
- 衆議院に立候補できるのは、満25歳の日本国民
- 参議院に立候補できるのは、満30歳の日本国民
衆議院と参議院の違い4:解散
参議院は解散しませんが、衆議院は解散します。なお、衆議院が解散する主な理由は以下の通りです。
- 内閣不信任決議が決定したとき
- 内閣信任決議が否決されたとき
- 内閣が衆議院解散を必要と判断したとき
ここでの「解散」とは、「集まっている人が散り散りになる」ということではありません。
「全ての議員が、任期を満了する前に、免職となる」ことです。
衆議院議員としての活動を続けたい人は、40日以内に実施される選挙に立候補し、当選しなくてはなりません。
【ポイント4】
- 参議院には「解散」がない
- 衆議院には「解散」がある
- 衆議院解散後は、40日以内に選挙が実施される
衆議院と参議院の違い5:内閣不信任決議
衆議院の中で「現在の内閣を信任できない」という声が高まると、衆議院本会議に参加している衆議院議員の過半数の同意を得て、内閣不信任決議を決定します。
内閣不信任決議が決定されると、10日以内に内閣は、総辞職するか衆議院を解散するかのどちらかを選択しなくてはなりません。
内閣不信任決議により衆議院が解散した場合でも、衆議院選挙が終了した後に内閣は総辞職します。
つまり、内閣不信任決議が可決されると、衆議院を解散するかどうかに関わらず、必ず内閣は総辞職することになります。
【ポイント5】
- 内閣不信任決議が可決されると内閣は総辞職する
- 内閣不信任決議が可決されると衆議院解散の可能性がある
衆議院と参議院の違いはほかにもある
衆議院と参議院の違いは、定数や年齢、解散の有無、内閣不信任決議ができるかどうかだけではありません。
例えば、衆議院には「衆議院の優越」があります。
国会で法案を議決するときや内閣総理大臣を指名するとき、予算を決定するときなどは、衆議院と参議院、両院の同意が必要です。
しかし、両院の意見が食い違った場合には、衆議院の意見が優先されます。
この衆議院が持つ優越的権限のことを「衆議院の優越」といいます。
衆議院と参議院それぞれの役割
衆議院や参議院の役割は、日本国憲法で決められています。
日本国憲法は、第2次世界大戦後の1946年に公布されたもので、それ以前は大日本帝国憲法というものがありました。
大日本帝国憲法は、明治時代に制定されたものなので、明治憲法とも呼ばれます。
明治憲法における帝国議会では、皇族や華族などによって構成される「貴族院」と選挙によって選ばれる「衆議院」の二院制でした。
その後、1945年にポツダム宣言を受諾した後、議会制度が大きく見直され、日本国憲法では「参議院」と「衆議院」の二院制による新たな日本国議会となりました。
帝国議会においては、衆議院は予算先議権を持っていましたが、衆議院と貴族院の役割は対等でした。
しかし、日本国議会においては、衆議院には参議院よりも「優越権」が認められています。
衆議院議員は任期が短く解散制度があるため、民意を反映しやすい存在です。
衆議院の決定が参議院の決定よりも優先されることは、より民意を反映した政治を実現しやすくするのです。
衆議院の役割
衆議院には解散制度があるため、なかなか4年の任期を全うできません。
衆議院と参議院の二院制になってから、衆議院が4年の任期を全うしたのは1976年11月の1回だけです。
その1回以外は、任期途中で解散し、新たな民意を反映した議員や新たな民意を反映した政党の議員が選出されてきました。
つまり、衆議院に4年の任期があるといっても、基本的には任期途中にすべての衆議院議員が免職されて、新たな議員が選出されることになります。
衆議院議員の候補者たちは、度重なる選挙活動によって、国民が何を希望しているのかを汲み取れます。
選挙活動や選挙区の人々との交流で得た民意を、国会に持ち込み、より多くの国民の理想を実現させる役割があります。
そのため、衆議院の役割は民意の反映にあるといえます。
【衆議院の役割についてのポイント】
- 4年任期と解散制度で衆議院は民意を反映しやすい
- 衆議院の役割は「民意の反映」にある
参議院の役割
民意は常に正しいとは限らず、長期的な視野で見ると民意に従って行動することが国にとっての不利益につながる可能性があります。
民意を反映しやすい衆議院議員だけで国政を決めると、将来的には日本が住みにくい国になる恐れがあります。
その時々の極端な意見に走りがちな民意に流されずに冷静な判断をする役割を与えられたのが参議院です。
参議院議員は6年の任期の間、解散せずに国政に携わるため、長期的な視野で日本の国政を捉えられます。
つまり、民意を反映するために衆議院が提案した議案や法案を「良識の府」として長期的な視野で冷静な判断をするのが参議院の役割です。
【参議院の役割についてのポイント】
- 参議院の役割は「良識の府」
- 長期的な視野と冷静な判断をする必要がある
問題のダブルチェックのために衆議院と参議院がある
国の運営には、さまざまな問題の解決が欠かせません。
とはいえ、問題は多岐にわたり、問題を取り巻く事情も変化し続けますので、常に最善の判断をすることは難しいです。
民意を反映しやすい衆議院と長期的な視野を持つ参議院の両院があることで、問題をダブルチェックし、より良い解決策が実現しやすくなります。