若者が選挙になぜ行かないか?理由について分かりやすく解説
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選挙が近づくと「若者の選挙離れ」が話題になりますが、なぜ若者は選挙に行かないのでしょうか。
選挙に行かない理由と、政治参加しないことで起こり得るデメリットについてまとめました。
目次
若者の投票率は低い
選挙が行われるたびに話題になる投票率は、若い世代になるほど低い傾向にあります。
投票数を増やし、多くの意見を集める目的で始まった18歳選挙権の開始年でも、10代は過半数を割り込む4割の投票率しかありません。
年代別に見た投票率の推移でも、20代~30代の投票率は全体平均を下回り、10~20代は3割程度の投票率しかありません。
2019年7月に行われた参議院選挙では、消費増税が争点となっていて一般市民の生活にも影響が出るようなものでした。
しかし、全体の投票率自体は、全国規模の国政選挙としては過去最低に次ぐ48.8%であり、注目が集まらなかった結果でしたが、50代以上の投票率は過半数あります。
なぜ、若者の投票率は低いのでしょうか。
なぜ若者は投票に行かないのか
若年層の投票率向上を目的とする学生団体『NPO法人ドットジェイピー』の長崎支部が行った、学生を対象として調査では、およそ7割の学生が「投票日を知らない」と答えており、選挙に対する関心の低さがわかります。
また、総務省が2016年に行った選挙に行かなかった人への調査では、以下の理由が挙げられています。
- 住民票の関係で投票権がなかったから
- 選挙は自分たちに関係の無いものに感じるから
- 投票所に行くのが面倒だったから
- どの政党や候補者に投票すべきか分からなかったから
- 政治に詳しくないから
- 選挙しても政治は良くならないと思ったから
若者の投票率が低いのは選挙に興味がないから
いろいろな理由がありますが、総じていうと「選挙に興味がないから」です。
選挙に興味があれば、不在者投票か不在者投票用紙の取り寄せを行ったり、政治についても選挙前に調べることができます。
若者が選挙に興味が持てない最大の理由は、「選挙の際の争点が、若者にとって身近な問題でない」という点です。
だいたいの選挙では、憲法改正や年金破綻、医療費問題や地球温暖化など、若者たちの世代はあまり関わりがなかったりスケールが大きかったりと、どこか他人ごとに感じてしまいがちです。
対して、子育てや学業支援、消費税や奨学金など、若者たちの身近にあるものや興味のあることになると、政治は遠い話ではなく自分たちの問題と感じ真剣味を帯びます。
メディアも選挙報道をしないようになってきた
また、テレビで選挙に関する報道が少ないのも要因の一つと言えます。
テレビ番組を調査・分析しているエム・データ社(東京都港区)によると、参院選に関連した民放報道は2013年から比べると13時間も減少しています。
それに加え、当選した候補者や議席を獲得した政党はどのような公約をもっているか、などの報道は選挙前ではなく選挙後に行われるようになっています。
視聴者はマスメディアに頼らず、自ら情報収集する必要があるのです。
選挙時の公約を比較や検証方法について、関連記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。
投票に行かないとどうなる?
投票に行かない事は、「政治に関わる権利のひとつを放棄している」ということです。
自分の意思を示すことなく現状に甘んじていると、政治家からすると自分を支援も批判もしない「考えなくてもいい人」となります。
ネットで文句を言っているだけではなく、政治家たちに投票で自分たちの意思を伝えることが重要です。
日本の主権者教育を見直す
若者が政治に興味がないのは、日本の主権者教育にも問題があると考えられています。
主権者教育とは、社会で起きている物事について、主体的に考え行動できる人間を育成するための教育です。
日本の主権者教育は、文部科学省が2015年10月に発した「主権者教育に関する通知」にて行われています。
通知では「学校は政治的中立性を確保すること」「職員が生徒に対し、特定の政党などを支持、または反対させる教育を行う事を教唆、または煽動する事の禁止」が求められています。
しかし、誰しも中立を保つことは難しいため、教育者が主権者教育を行うには多大なる工夫が必要となり、中立性に違反すると教育委員会や政治家から指摘が行われます。
そのため、教育現場では模擬投票を実施しても、具体的な政党や候補者、法案の成立過程や各党の違いや政治家が日々何をしているかなどの教育は行われない傾向にあります。
事実、総務省が行った「18歳選挙権に関する意識調査」では、一番答えが多かったのは「どの主権者教育も受けたことが無い」というものです。
海外の選挙教育は
ドイツとノルウェーの投票率は70%と高く、主権者教育にも注目が集まっています。
ドイツでは、保育園児から大学生まで国のプログラムに則った主権者教育が行われています。
小学校で問題解決の手段やデモの手順を学び、大学生になると議題を仮定しランダムに党を振りわり、その立場にとっての議論シミュレーションを行い、シミュレーション後には本物の議員との対話も行います。
自分たちの思想や信条に近い役割で議論を行うのではなく、与えられた役割で議論することで意識的に議会制民主主義を学んでいます。
ノルウェーでは、選挙期間に市民が集う場所に各政党のカラフルなデザインの選挙小屋が並び、候補者やその支援者に直接質問できます。
ノルウェーの中学生は、先生の引率がなくても選挙小屋で税金や難民について自由に質問を行い、各党の違いをまとめます。
また、高校生になると4年ごとに行われる国政選挙と統一地方選挙にあわせ、実際の投票の練習をする学校選挙が行われます。
学校選挙は正式な選挙の投票数に影響はないものの、未来の国の行方を暗示していると政治家から注目されています。
SNSや芸能人も選挙について呼びかけ始めた
日本では、テレビ業界や芸能人が政治に関しての発言を叩かれる傾向にあるため、積極的にしない風潮があります。
事実少し前に、芸能人が署名を求めるようSNSで発信したところ炎上し、その後に選挙が近づくと「今回は選挙の話をしないのか」と叩く声も寄せられています。
しかし、徐々にですが芸能人やYoutuberなどのインフルエンサーたちが、政治の話をSNSなどでするようになっています。
若者の間でも「SNSで、芸能人の『投票への呼びかけ』を見たから」という動機で選挙に行く人もいます。
選挙に行かない若者を変えるには「関心を持たせる」ことが必用
若者の投票率が低い理由の一端として、日本の主権者教育が具体性に欠けることが原因だと考えられます。
若者が投票率を上げるためには、まず選挙は「日本のお金の使い道を決める人を選ぶ」ということを理解することが大事です。
テレビやマスメディアで選挙報道を頼らず、ブログやホームページ、SNSから自分の意見を発信している候補者の中から、自分の意見と近い人を調べる習慣を身につけるましょう。