選挙の費用は自腹?立候補時の供託金や経費、負担軽減の制度を解説

選挙に立候補するためにはお金がかかります。

また、選挙活動にもお金がかかります。

選挙にかかる費用の内訳と負担軽減のための制度についてまとめました。

選挙に立候補しようか検討している方も、そうでない方も、ぜひご一読ください。

選挙に必要な費用とは?主な項目を紹介

札の山
「選挙に立候補したい」という気持ちだけでは、選挙に出ることすらできません。

選挙に立候補することを決めたら、まずは供託所に所定の『供託金』を納める必要があります。

また、選挙活動をおこなうときにもお金がかかります。

選挙のどのような点にお金がかかるのか、そして、おおよそいくらくらい費用が必要なのかについてまとめました。

選挙に必要な費用1.供託金

供託金(きょうたくきん)とは、立候補者が供託所に納めるお金のことです。

供託所(きょうたくしょ)は、金銭、有価証券などを預かり保管をする場所を指します。

法務局や地方法務局、その支局や裁判所が指定する場所になります。

供託金は、参議院と衆議院の比例代表選出議員に選ばれる場合は、立候補者ではなく政党などの政治団体が供託金を納める手続きをおこないます。

供託金の金額は、選挙の種類によって決まっています。

本来、「供託」という言葉には「預ける」という意味があり、供託金も選挙終了後には納めた人に返還されるものです。

しかし、選挙の供託金は返還のためのルールがあり、立候補者が一定以上の得票数を得ない場合は没収されてしまいます。

<選挙の種類による供託金と没収ルール>

選挙の種類 供託金の金額 立候補者の得票数と没収ルール
衆議院小選挙区 300万円 有効得票数の1/10未満のときは全額没収
衆議院比例代表 600万円 供託金から300万円×重複立候補者のうちで
小選挙区での当選人数と600万円×比例代表の当選人数×2を
差し引いた金額が没収される
参議院選挙区 300万円 有効得票数÷選挙区内の議員定数×1/8未満のときは全額没収
参議院比例代表 600万円 供託金から600万円×比例代表の当選人数×2を
差し引いた金額が没収される
都道府県知事 300万円 有効得票数×1/10未満のときは全額没収
都道府県議院 60万円 有効得票数÷選挙区内の議員定数×1/10未満のときは全額没収
指定都市の長 240万円 有効得票数×1/10未満のときは全額没収
指定都市の議員 50万円 有効得票数÷選挙区内の議員定数×1/10未満のときは全額没収
指定都市以外の市区の長 100万円 有効得票数×1/10未満のときは全額没収
指定都市以外の市区の議員 30万円 有効得票数÷選挙区内の議員定数×1/10未満のときは全額没収
町長/村長 50万円 有効得票数×1/10未満のときは全額没収

※供託金は、いずれも立候補者1人あたりの金額です

選挙に必要な費用2.人件費

選挙活動を1人でおこなうのは困難です。

通常は、事務や報告作業を担当するスタッフ、街頭演説・住民への挨拶回りなどの仕事を手伝うスタッフが必要になります。

また、ポスターを貼る作業をおこなうスタッフ、インターネットでの選挙活動に携わるスタッフなども必要です。

選挙活動を手伝うスタッフに支払う報酬は、立候補者が負担することになります。

選挙に必要な費用3.家屋費(選挙事務所・集合会場)

選挙活動をおこなう拠点となる、事務所の建築費や家賃も必要です。

もちろん、建物だけがあっても事務所としては使えませんから、椅子や机、ホワイトボードなどの家具・備品を準備する資金も必要になります。

立候補者の自宅を拠点とする場合も、インターネットや電話などが利用できる環境に改築する費用がかかります。

また、集会を開くときの会場費もかかってくるでしょう。

選挙に必要な費用4.通信・印刷費(選挙ハガキ・ポスター等)

選挙運動は、電話やファックスなどの通信手段を用いてもおこなわれます。

近年はインターネットで選挙活動をおこなう立候補者も増えましたから、インターネットでの通信費や、それに伴う電気代もかかります。

また、ハガキやポスターも選挙活動には欠かせないアイテムです。

新聞の折り込みチラシや有権者の自宅に直接投函するためのチラシを、印刷する費用もかかります。

選挙に必要な費用5.広告費(選挙看板等)

選挙事務所に設置する看板や、地域を回るための車にかかる費用も忘れてはいけません。

チラシやハガキ、インターネットなどの媒体以外を使って、広く選挙活動をおこなうための費用を広告費と言います。

車を新しく購入して立候補者の名前が分かるように看板を取り付けると、100万円単位の出費がかさみます。

また、街頭演説の際の拡声器や看板、新聞広告などにもお金がかかってくるでしょう。

選挙に必要な費用6.その他(宿泊費・文具費・食糧費・雑費等)

すでに国会議員として働いている場合など、普段暮らしている場所とは別の地域で選挙活動をおこなうこともあります。

立候補する地域が居住地と異なるときには宿泊費がかかり、自宅が立候補する地域内にある場合でも、選挙活動の対象範囲が広いときは宿泊費が必要です。

また、文具費や雑費も意外とかさむものです。

スタッフが多ければ多いほど、予定外の支出や食糧費が増えることもあり、多めに予算を取っておく必要があるでしょう。

選挙費用の負担を軽減する制度

国会議事堂
選挙をおこなうためには100万円、1,000万円単位のお金がかかります。

とはいえ、いくらでも選挙にお金をかけても良いというわけではありません。

無制限にお金をかけても良いなら、資金が潤沢にある立候補者が有利になるため、すべての人が政治に参加することを前提とした民主主義の成立自体が困難になってしまいます。

法定選挙費用の取り決め

選挙費用が過大にならないために、公職選挙法では法定選挙費用が定められています。

法定選挙費用を超えて選挙活動をおこなったことが判明すれば、たとえ当選後であっても当選が無効になるのです。

法定選挙費用は選挙の種類によっても変わります。

たとえば、衆議院小選挙区選挙では、公示日における選挙区の選挙人名簿登録者数に15をかけて1,910万円を加えた金額(100円未満は切り上げ)が、選挙費用の上限額となります。

選挙区内に有権者が100万人いるならば、100万人×15+1,910万円=3,410万円が選挙費用の上限額です。

<参考:公職選挙法第194条|電子政府の総合窓口 e-Gov(イーガブ)

公費負担制度

選挙費用は、全額を立候補者が負担するわけではありません。

国や地方自治体が選挙費用の一部を負担する公費負担制度があり、実際にかかった金額よりも少ない金額で選挙活動をおこなうことが可能です。

たとえば、選挙応援ポスターやチラシの作成費用などは、上限額はあるものの公費で支払われます。

ただし、得票数が少なく、供託金を没収されてしまったときは、選挙費用の公費負担も利用できず、全額実費を請求されます。

選挙費用の詳細や仕組みの背景などを知っておこう

公費負担とは、すなわち私たちの税金から選挙費用が支払われるということを意味します。

選挙費用の収支や仕組みを理解し、立候補者がどのように選挙費用を使ったのかについても注意してみましょう。