景気とは?意味や「良い・悪い」の決め方、社会状況を解説

「景気」という言葉は、経済ニュースなどで頻繁に登場しますが、あらためて意味を聞かれると答えづらいものです。

また、景気は良い・悪いで判断されますが、基準はどこにあるのでしょうか。

景気によって社会はどのように変化するのか、景気の意味と、景気と社会の関係について解説します。

景気とは

景気とは景気には、経済活動の動向という意味と、人々の経済動向への印象という意味があります。

企業や個人などの経済活動が活発になると、好景気や好況が到来します。

好景気が続くと、必ずいつか不景気や不況になります。

不景気とは経済活動が沈静化した状態です。

したがって、景気と経済活動は直結している、といえます。

景気を考えるとき、人々の感覚は重要です。

一般的に経済活動の「結果」が好景気だったり不景気だったりします。

 

しかし、人々が「好景気だ」と感じると経済活動が活性化することがあります。

つまり景気が経済活動の「原因」になることもあるのです。

例えば、バブル景気は、実体経済の良さより、人々の「景気熱」が高まりすぎたことで起きました。

したがって景気は、データや根拠に基づいた客観的に判断できる場合と、人々に主観によって判断される場合があります。

景気の「良い・悪い」は日銀が決めている

景気の客観的な判断として重要視されているのが、日本銀行の景気判断です。

企業や政府や行政機関などは、日銀の判断を基準に経済活動や公共事業などの展開を検討しています。

日銀はさまざまな方法で景気判断を下していますが、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」もそのひとつです。

日銀の「景気判断用語」は独特で、「拡大基調が続くと見込まれる」や「弱めの動きが続いている」「緩やかに拡大している」といった表現を使っています。

日銀は、GDP(国内総生産)や公共投資、輸出、設備投資、個人消費、住宅投資などの数字を分析して景気を判断しています。

輸出とは、国外に向けて日本製品を売ることです。

つまり、日本の景気には世界の景気も関係してきます。

景気の「良い・悪い」と社会状況のつながり

景気の良い悪いなぜ経済活動が活発なとき、「景気は良い」というのでしょうか。

経済活動が停滞すると、なぜ「景気が悪い」というのでしょうか。

経済活動の状態が、なぜ良し悪しという価値判断につながるのでしょうか。

理由として、経済活動が活発になると、社会状況が良くなることが多いからです。

したがって景気が良いことは、社会にとっても良いことなのです。

「景気が良い」ときの社会状況

日銀の判断だけでなく、次の4項目が達成できたとき、景気が良いと表現されることがあります。

  • 企業の業績が上がっている
  • 人々の給料が上がっている
  • 人々がたくさん消費する
  • 政府や地方自治体の税収が上がっている

人の幸せはお金では買えませんが、お金があると幸せが拡大したり深まったりすることがあります。

したがって多くの人が、幸せを増やすために働いて収入を増やそうとします。

給料を増やすためには、企業業績が向上しなければなりません。

また、企業が利益を増やしたり、人々が所得を増やしたりすれば税金が増えます。

税金が増えれば、行政機関はインフラ整備や住民サービスを拡充でき、人々の幸せにつながります。

つまり、上記の4項目が達成できることは良いことであり、その状態は「良い社会」といえます。

景気の良さと社会状況の良さは密接にリンクしています。

「景気が悪い」ときの社会状況

景気が悪い状態は、景気が良い状態の真逆です。

すなわち次のような社会のことです。

  • 企業の業績が下がっている
  • 人々の給料が下がっている
  • 人々がほとんど消費しない
  • 政府や地方自治体の税収が下がっている

企業は、業績が下がるとリストラや業務規模の縮小を行います。

そうなると多くの人が職を失い、収入がなくなります。

そのような人たちはモノやサービスを買えないので、生活が苦しくなります。

さらに企業も人々も税金を支払えなくなるので、政府や地方自治体は行政サービスを提供できなくなります。

人々の生活はますます不便になり、心もすさんできます。

もちろん、お金が少なくなるだけで悪い社会とは断定できませんが、景気が悪い社会は悪い状況に陥りやすいのは確かです。

「景気が良くなっても給料は上がらない」という傾向

景気が良くなっても給料が上がらない先ほど、景気が良くなれば働く人の給料が上がって幸福度が増す、と解説しました。

しかし、経済のメカニズムは複雑で、景気が良くなっても人々の給料が上がらないことがあります。

給料は上がらない理由

好景気でも給料が上がらない理由には、次の3つが考えられます。

  • 企業がお金を使わない
  • お金が国内に流れてこない
  • 給料が上がるまでに時間がかかっている

景気が良くなっているのであれば、企業業績は向上しているはずです。

業績が上がったのは社員たちのお陰なので、本来なら経営者は給料を上げなければなりません。

しかし、経営者のなかには「次の不景気に備えておきたい」という気持ちになる人もいます。

そのような経営者がいる会社では給料が上がりません。

ただ、この判断は一概に「悪いこと」とはいえず、世の中が不景気になって業績が落ちても企業に蓄えがあれば雇用を継続できます。

 

また、企業の海外進出やビジネスのグローバル化によって、海外への投資が増えています。

日本企業が利益を上げても、そのお金で海外に工場をつくったりすれば、日本の従業員に渡す給料を増やすことはできません。

景気が好転すれば原則、人々の給料は上がります。

しかし、経営者の気持ちや海外投資などがあると、給料の押し上げ圧力が弱まり、給料はなかなか上がりません。

好景気が続けば、経営者の気持ちが回復したり、海外投資が一巡したりするので、経営者も「給料を上げよう」という気持ちに傾く可能性はあります。

景気を良くする方法

景気をよくする方法景気が良くなると社会が良くなるので、政府や行政機関、企業は景気を良くしようとします。

もちろん多くの個人も、景気を良くするように動いています。

それでも景気は簡単には上向きません。

どのようにすればよいのでしょうか。

方法1.年金や社会保障への不安を下げ消費意欲を上げる

好景気を支える大きな柱のひとつが個人消費です。

つまり、人々がたくさん買い物をしたり、旅行に出かけたりすると、景気は上向きます。

しかし、人々は出費に慎重です。

特に日本人は、預貯金で生活をカバーしようと考える傾向が強いので、預貯金が十分貯まるまで消費を控えようとします。

預貯金だけでなく、資産形成や金融商品を増やして「自己防衛」する人もいます。

そうなると、一部の資産関連の企業や一部の金融商品関連の企業は儲かりますが、多くの一般消費財の企業の経営は苦しくなります。

 

ではどのようにして、多くの人々に「預貯金が十分貯まった」と思わせたらよいのでしょうか?その方法のひとつに、年金などの社会保障の充実があります。

例えば、老後にもらえる年金が多ければ、預貯金の額は少なくて済みます。

医療保険が充実すれば、万が一のときに必要になるお金をそれほど多く準備する必要がないので、消費に回せます。

さらに社会保障が充実すると、人々は「消費しよう」と考えやすくなります。

それが好景気を生み出すエネルギーになっていきます。

方法2.人材流動性を上げて新事業やサービスを作る

景気を向上させるには、企業の努力が欠かせません。

人材流動性を上げたり、新事業を立ち上げたり、新しいサービスを展開することで、景気を向上させられます。

「人材の流動性を上げる」とは、転職しやすくしたり、転職しても給料を維持したりすることです。

また、労働者の再教育も人材の流動性を上げます。

再教育を受けた労働者は、他業種に移動させやすくなります。

労働者を、人が余っている業界から人手不足が深刻な業界に移せたら、双方の業界にメリットが生じます。

企業が新事業や新サービスを打ち出せば、消費者は「買ってみたい」と思うようになります。

例えば、Amazonはインターネットでの買い物を便利にするという新サービスを打ち出しましたが、そのことが人々の購買力を高め、個人消費の規模を下支えしています。

さらに企業のデジタル化が進むと、高効率化や生産性の向上が実現でき、好景気に寄与します。

人々が消費を拡大すれば企業の業績が上がり、やがて給料の増額として人々に還元されるようになります。

景気の意味を知ると社会経済が理解しやすい

景気の意味や好景気・不景気が起きるメカニズムを知ると、社会の仕組みも見えるようになります。

景気を学ぶことは社会を学ぶことでもあるのです。

景気や社会についての知識を増やすと「景気を良くしよう」「社会を良くしよう」という気持ちが芽生えるので、好景気や良い社会づくりにつながっていきます。